睡眠時間

一昨日が妻の健診日だったので、その前の晩は早々に食事を済ませ入浴も済ませて早々に就寝。わたしも早めに風呂に入ったら健康的な眠気が出てきたので、早く寝ることにして22時には床に就きました。

この歳なので、そう長い睡眠はできないだろうと思っていましたが、朝の目覚まし時計が鳴る6時まできっちり寝ることができました(もちろん、いつものように定期的に小便には起きましたが)。腰痛が出ることもなく、まあまあしっかり睡眠できましたが・・・「8時間睡眠って、やっぱり長い。長過ぎる。なんか、人生の半分くらいを捨てたような気分になる!」というのが実感でした。

多く眠れたからといって、翌朝の爽快感が増えたというわけでもなく、昼間の眠気や活力が改善したというのでもない。おそらく最近は6時間睡眠でも昼間の眠気や疲労感を感じることがほとんどなかったから差を感じないのかなと思うのですが・・・。

生活習慣病の治療の主体は『運動』『食事』『睡眠』・・・3本柱のひとつである『睡眠』なのだけれど、なんか思ったほどの”得した感”が得られなかったのがくやしい。一日3時間以下睡眠を豪語するような『ショートスリーパー』は論外なのでしょうけれど。そうなると、夜にやりたいことがたくさんある現代社会人として、7時間、8時間睡眠を積極的に支持しなくてもいいのかな、と思ってしまう結果でした。

まあ、自覚症状に大きな差がなくても臓器の修復作業や代謝作用には良い結果をもたらしているのだと信じることにいたしましょう。
 

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太ってもやめるべし?

禁煙後の体重増加はどうすれば防げる? 禁煙後に太ってもメリットは大きい 健康的な生活により寿命を7年延長

禁煙後に体重が増えるのを気にして、禁煙をためらっている人は多い。しかし、喫煙を続けていると、とくに内臓脂肪が増えやすくなり、長期的にみるとやはり、禁煙に取り組むことで得られるメリットは大きいことが明らかになった。禁煙に取り組み、健康的な体重を維持し、アルコールの飲みすぎを減らすことで、寿命を最大で7年延長できることも示された。禁煙後に体重をなるべく増やさないようにするコツも紹介されている”(保健指導リソースガイド2024年04月01日公開)

こんなことは、遠い昔から云われていること。「タバコをやめると太るからやめない」とか、「タバコをやめたらめちゃくちゃ太ったから慌ててまた吸い始めた」とか、タバコをやめない言い訳や再開する言い訳は昔から似たようなものでした。動脈硬化の最大の危険因子(国の重要な税収だから目をつぶるように国から圧力はずっとかけられてはいるけれど)が喫煙だし、禁煙で増えるのは皮下脂肪がメインだし、タバコをやめたら太るのは手持ちぶさたでたくさん食べるようになったからではなく、胃が健全になって前より食べた物の吸収率があがったためなのだから、同じ量食っても太るのが当たり前だけど、それでも動脈硬化を起こす危険度は禁煙前より遙かに低いのだ、とわたしは20年近く前にすでに教わりました。ま、そんなこと知っていても吸っていましたけどね、以前。

でもね、禁煙者がめちゃくちゃ太るのも、だから喫煙再開するのも、全部が言い訳ですからね。

禁煙後に体重をなるべく増やさないために、▼健康的な食事をとり、意識的にゆっくりとよく噛んで食べるようにする、▼ウォーキングなどの活発な有酸素運動を行い、禁煙後のタバコへの渇望感やイライラなどの離脱症状を減らす、▼糖質の入っていないガムや飲み物など、間食を工夫する、▼1日1回体重測定を行い、スマホアプリなどで記録することを勧めている

なんてこと書かれてもしない(読まない)し。する人は、こんなこと書かれなくてもちゃんできるんですよね。
 

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夢中になれること

「夢中になれることに出会えると、心も健康になります」

先日、facebookに日野原重明先生の詞として紹介されていたフレーズです。良い言葉だなぁと思ってすぐにシェアしました。さてさてそれは分かっているけれども、私はそんな『夢中になれること』にまだ出会えていない様に思われます。寂しき話ではありますが、焦ってもしょうがないし。「何云ってるんですか。貴方には応援するプロサッカーチームがあり、ゴルフがあり、愛犬がいて、めちゃくちゃ夢中になることだらけじゃないですか!」と云われそうだけれど、側で見ているのと本人の感覚は全く違います。そのどれをとってみても、”夢中になれる代物”ではありません。まあ、そうは云っても、贔屓チームが試合に勝っても負けても応援はいつも一生懸命だし、たとえスコア126を叩いてもゴルフ中は楽しいし、時々めちゃくちゃイライラしたり頭に来たりしてもやっぱり愛犬が甘えてきたら嬉しい。だから。夢中にはなってないけれど最近の私の心はまあまあ健康だと思います。

でも、もっと本当に夢中になれることがこの世にはあるんじゃないかと思うわけです。定年を超えた今の私にこそ出会うべきものがきっと現れるはずだと期待しているのであります。

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体調報告

先週、「職員のみなさま FORMS健康チェックは不要です」というメールが届きました。

FORMSの健康チェックというのは、新型コロナ流行し始めた時にうちの職場の入院患者に感染者が出て(後になって、県の検査センターの検体取り違えで「うちから出た」というのは濡れ衣だったことが分かりましたが)その時に厚労省のお役人たちがやってきて、「職員の体調管理すらきちんとしてないなんて、そんなずさんな組織体制だから感染者を出すんだ!」と叱られたことをきっかけに、休みや出張の日も含めて必ず毎朝体温を測定して体調報告と合わせてformsで報告するシステムです。新型コロナが第5類になって世間でマスク外しが進んで以降も、「やめてもいい」という通知がないから毎日マジメに報告してきました。この文面を読むと、もうとっくの昔に報告義務は解除されていたのか?と勘ぐりたくもなるけど、そんなんじゃないですよね。ま、ちょっとした体調変化があっても、毎朝必ず体温測定を欠かさずやっていたから、自信を持って生活することができたのはたしかで、世間の多くの連中が「熱はあるの?」と聞いても「ないと思う」とかいい加減に答えているのが信じられませんでした。

やっと、この4年間のコロナ禍の戦いがひと段落の節目を迎えたのだなと実感します。でも、仕事中のマスク装着義務はたぶん当分続くと推測されます。もっとも、わたしはその後も朝の体温測定を続けています。もちろん報告義務はなくなったのだから報告はしませんが、朝起きて、体温測定した後に血圧測定をして併せてスマホのアプリに入力を済ませてからR1と一緒に血圧の薬を飲む、というのがわたしの朝のルーチンになってしまっているからです。

 

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朝風呂はNG?

本読み習慣が少しできたので、先日Amazonで購入した『Tarzan』~睡眠のナゾも楽しみに読んでみました。でも残念ながら、中に書いてある内容はわたしとしてはほぼほぼ陳腐で、新しい感動は何もありませんでした。

ただその中で、『朝風呂のナゾ』というコーナーに、「睡眠の質を高める入浴方法は、”就寝90分前に40~41度のぬる湯で10~15分程度”が通説」で、『朝風呂のメリット』は低血圧気味の人なら42度程度の熱めの湯に5分で交感神経優位になるからシャキッと目覚められるけれど、血圧高めの人は脳卒中などのリスクがあるので「絶対NG!」て書かれていました。

これは、高血圧の治療中のわたしにはかなりショックな文面です。わたし、割と朝風呂に入ることがあります。宴会などで深酒した夜など、「今風呂に入る方が危険だ」と判断したときは、さっさと寝て翌朝入ります。旅先(学会出張や個人的な旅など独りで泊まるとき)でも、夜に独りで入って具合など悪くなったら大変だと思って、翌朝に入ることが多くなります。それは、新進気鋭のドクターや大忙しのドクターが出張先で夜のうちに突然死していたなどという話を少なからず聞くからです。やはり酔って風呂に入る方が朝風呂に入ることよりはるかに危険なことだと思うのですよね。

まあ、「だから、酒飲まなきゃいいんじゃないの」と云われてしまえばそれまでのことですが。

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食塩感受性

高血圧の犯人が塩分だけではないことはほぼ知られてきていますが、それでも『食塩感受性』が高いと塩分の影響は受けやすいと認識してきました。そもそも海中生物だった生物はナトリウムによって体内機能の維持を行っており、人類を初めとする動物たちが陸に上がり海中にいたときほどナトリウムを自由に摂取できなくなったがために、体内に効率よく塩分を貯める仕組みが必須となりました。体内では塩分濃度を一定に保つために塩辛いものをたくさん摂ると水分を体内に溜めて濃度を薄める作用をするので体内の血液量が増えて結果として血圧が上がる。だから内陸部に住む人種ほど少ない塩分で血圧維持できない人たちがバタバタと倒れ、少ない塩分でももきちんと血圧が上げられる人が自然淘汰の中で生き延びてきたのだ、と教わりました。つまりその体内にナトリウムを蓄えて水分を蓄える力が強い人を「食塩感受性が高い』」というのだ、と。

ただ、昔から疑問だったのです。日本人は欧米の白人に比べれば食塩感受性の高い人が多いとはいえ、アフリカの黒人ほどは多くなく、せいぜい約半数なのだと聞いていますから、日本人に高血圧が多いのは塩分だけのせいではないのではないか、と。どうも、高血圧に関連するものはほかにタンパク質と酒などもあるのではないかとこの本には書かれていました。東北の農村部は冬は雪に閉ざされて寒くて新鮮な野菜や魚が手に入らず一方で米でどぶろくを作って酒を飲んで冬を過ごしたのに対して、漁村では海藻や野菜や新鮮な魚を存分食べる一方で米は不足するので酒は飲まず冬でも漁に出て身体を動かしてきた。その結果が脳出血の罹患数の差に表れているのだそうです。

もう一つはカリウムでしょうか。カリウムは血中のナトリウムを引っ張り出してくれる効果があるから。でもねえ、意外にカリウムをたくさん摂るのは大変。「野菜に多く含まれている」と説明はするけど、ゆでたり切ったりするとカリウムは出て行ってしまいますから、大量の新鮮野菜をバリバリ食わねばなりません。わたしは意外に食っている気がするけど、ナトリウムと1:1にすべし、と云われるとさすがに自信はありません。

 

 

 

 

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炭水化物論争

「食の欧米化の影響で日本人に糖尿病やその予備群が増えてきた」と云われて久しい。ところが、健康志向の高まりの影響をもろに受けて、実は現在の一日当たりのカロリー摂取量は終戦直後よりも少ないという。終戦直後より現代人の方が量を食べていないのに糖尿病になる人が多い、というパラドクス。砂糖の摂取量も増えていないかむしろ減っているとなると、じゃあ糖尿病増加の原因は何なのか? ということで、著者の奥田先生はカロリー総摂取量に占める脂肪の割合が上がり炭水化物の割合が下がったことだ、と云いきっているわけです。その最たるものが沖縄県人の健康度の著しい低下なのだと。

それはそれで良いとして、そこに『低炭水化物ダイエット』というか炭水化物を減らすことにより食後高血糖をコントロールして糖尿病を改善させるという理論から、炭水化物を減らすべきだという考え方が台頭してきました。「減らすなら脂肪か炭水化物か?」という論争が出始めてもう何年になるでしょうか。結論が出そうで出ないこの問題。わたしは、「脂肪か炭水化物か?」ではなくて「どっちも減らせばいいじゃないか」と思って無視してきました。

炭水化物を減らすと何が悪いのか?日本人はインスリン分泌量が欧米人より少ないですが、
・インスリンが少なくても、炭水化物の摂取が多ければブドウ糖を必要なだけ細胞に取り込むことができる。
・しかし炭水化物の摂取が減ると少ないインスリンではブドウ糖を十分確保できない→膵臓はインスリン分泌を高めようとがんばる→次第に疲弊して機能低下→インスリン分泌する細胞の数が減ったりインスリンを作れなくなる→太っていなくても糖尿病になる。
・欧米人はインスリン分泌量が多いので炭水化物の摂取量が少なくてもブドウ糖を十分確保できる。
ということで、日本人が糖尿病を予防し進行を抑えるためには炭水化物を十分量摂取する必要があるのだ、と云うわけです。

さてどうしましょう。減量するには低炭水化物が有効だけど、程度が極端だとかえって糖尿病にはなりやすい。炭水化物を摂るのが大事だといっても多すぎれば結局内臓脂肪を蓄える。ということで、ほどほどの制限=ロカボの概念が生まれたということになるんでしょうか。ようわからんけど。

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倹約遺伝子

日本人が糖尿病になりやすいのは『倹約遺伝子』のせいだと云われていて、これがあると欧米人より基礎代謝量が下がるから同じカロリーを食べても日本人の方が太りやすい。アジア人に倹約遺伝子を持つ人が多い理由は、アジア人が昔から食うや食わずの飢餓の歴史が長かったから、食わずとも生き延びていける仕組みが発達したのだ、とそう教わりましたし、そう説明してきました。でも、それがちょっと違うようなのです。たしかに奥田先生が云われるように、「倹約遺伝子を持っていると基礎代謝量が下がって太りやすくなるのなら、倹約遺伝子を持つ人が少ない欧米人はもっとやせていてもよいはず」なのに、むしろ太った人が多いのはなぜだろうか?と云う話。

・実際のアジアは土壌が肥沃でヨーロッパより遙かに豊かな食生活を送ってきた。
・インスリンは炭水化物を摂れなくなったときのために余ったブドウ糖をグリコーゲンに変換して筋肉や肝臓に蓄える働きをしている。
・アジア人はいつでも炭水化物を摂取できるのでブドウ糖を大量に蓄えておく必要がない。だから、インスリン分泌量が少なくてすむ。
・一方、土壌が農耕に向いていないヨーロッパでは炭水化物を十分に摂取できないから肉と脂肪中心の食生活で、炭水化物が手に入ったときにはインスリンを大量に分泌してブドウ糖をしっかり蓄える。脂肪をたくさん摂る上にブドウ糖をしっかり蓄えるから太ってしまう。

「農耕民族は飢餓の歴史。そこでくたばらずに生き延びてきた遺伝子系だからこそ、『食わずとも生きていける』体質なのに、今、どんどん食べるから太ってメタボになって、糖尿病が増えるんだ」と説明してきたわたしは、ウソを教えてきたと云うことになるの? とちょっとパニクり気味です。

 

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日本人の「体質」

久しぶりに本(本物の本)をほぼ1冊読み上げました。先日の外来で診察で呼ばれるまであまりにも長い間待たされたおかげでしっかりと読む時間ができました。

読んだ本は『欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」』(奥田昌子:BLUE BACKS)。2016年の本だから何かと世間の見解も変わっているものが多々あるかもしれないけれど、わたし的にはとても楽しく読めました。生活習慣病に関わるメカニズムは、世間の方がわかりやすいようにわたしも工夫して話してきていましたが、若干自分で解釈を誤解していたところもあって、「なるほど」と腑に落ちるところが数多くありましたのでこれから数回にわけてちょっとだけ紹介してみます。何かの参考になれば幸いです。

⚫︎倹約遺伝子
⚫︎炭水化物論争
⚫︎食塩感受性

 

 

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脳動脈瘤

先日、外来で脳MRI検査を受けてきました。治まりきっていない咳が出ないか心配でしたが、幸い検査中は何事もなく無事に検査が終了しました。

厳重な血圧管理も始めたし、経過良好(小さくなってたりして)を期待したけれど、結果としては変わりなし(数値変化が誤差範囲だと思われるとのこと)。一応は安心しました。ちなみに計測上、瘤の長径は2mm前後あります。「これが4mmになるようならカテーテル治療をした方が良いと思うけれど、この大きさでは経過観察が妥当でしょう」という説明でした。「突然動脈瘤破裂を起こす人はこんな定期的フォローを受けている人にはほとんどなく、ある時突然大きくなって破裂するパターンですから、1年後のフォローで大丈夫ですよ」と付け加えてくれました。しかも、もっと以前のMRI(2018年に受けた脳ドックのもの)も見てみると、画質が悪いからはっきりしないけれど当時から似たような瘤はありそうで、そうなるともっとずっと前からこんなものなのかもしれない、とも。

まあ、結局は「変化がないから1年後フォロー」という、まったくもって想定内の結論だったわけで、本当なら「次は2年後、それで変化なかった5年後か症状があった時」とかになってくれるのがいいのだけれど、今の職場で1年毎更新のパターンで働いている間は、この季節に年一回MRI検査してもらうのがベストなのかもしれません。

ちなみに、他の所見をこと細かに見てくれた先生。「あと、小脳に古い梗塞の後がありますけど何か症状はありませんでしたか?」と聞かれ、そういえば1年前の外来では小脳梗塞のことなんて何も説明してもらえなかったな、と思いました。「それ、MRI検査を受け始めたときからあります。遠い昔に炎天下でゴルフしたあとに妙に気分が悪かったときがあって、そのときにできた梗塞所見だと考えています」「それは2018年のMRI検査の時より前ですか?」「はい。もう20年以上前のことです」「そうですか、それならこの動脈瘤とは関連はなさそうですね」というところまで会話は進んで、そうか先生はこの梗塞との因果関係を探っていた訳ね、と気づきました。「探せばそのときのMRIデータ残っていると思いますよ」と云いたかったけど、予定より2時間も遅れた診察時間で早く帰りたかったから止めておきました。

 

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無事定年を迎えて。

今月いっぱいで、無事に職場の定年を迎えます。4月生まれなので、すぐに66歳になってしまいますし、定年後も悠々自適に暮らす余裕がないので継続雇用で働かせていただく予定ではありますが、いよいよ人生の大きな区切りが来たことに変わりはありません。還暦のときにも人生を振りかえりながら総括しましたが、あの時以上に区切り感が満載です。

医者になって、ちょうど満40年になりました(正式には医師国家試験後の研修医としての勤務開始は6月ですから2ヶ月ほど少ないですが)。研修医二年目の春、本当は来れなかったはずの今の病院に諸事情で急遽研修に来る羽目になり、半年の研修が終わって帰る日の前夜、当時のボスが「あと1年ここでやってみない?」と誘われてから、気づけばそのままここに居付いてしまいました。途中、内地留学の形でシンチグラフィ検査の研鑽のために3年ほど東京で働きましたが、結局医者人生の9割以上を今の病院で働いてきたことになります。あのとき繰り上げ当選で研修に来なければ、きっと今の病院の名前すら知ることもなかったでしょうし、妻とも出会わなかったでしょう。縁とは異なものでございます。

さらに詳しく振り返ってみると、今の予防医療の世界に入ったのが父が急逝した平成14年の1年前。つまりもうこの部署に来てから20年以上経つことになります。ということは、わたしの医者人生の半分以上は予防医療に従事・・・「自分は循環器内科が専門だ! 救急医療に生き甲斐を感じて従事してきたのだ!」と自負していたのに、本当にまともな臨床医として働いたのはとても短い期間だったことになります。ほとんどの期間が”偽医者”人生だったわけです。

40年間の中では、医療訴訟で証言のために法廷に立ったこともありますし、「主治医を他の医者に替えてくれ」と上司に直談判されたこともありますし、「先生の説明はものすごくわかりにくいですね」と面と向かって非難されたこともありますが、それでも総じて順風満帆に医者人生を全うできたと思います。これはひとえにスタッフ・同僚に恵まれたということに他なりません。感謝以外の何物でもありません。

これからは、1年契約の積み重ね。自分の体力が許して、病院が「クビ!」と云わない限りは可能な限り働かせていただこうと思います。皆さん、今後もより一層よろしくお願いいたします。

 

 

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情報制限

4月から継続雇用で嘱託医として働く立場になって、一番変わるのは『管理職』でなくなったこと。いや、わたしの職務は正式には5年前から管理職ではないし管理職手当ももらってないのだけれど、部署の皆さんが認めようとせず、ずっと『管理職』として働かされてきました。職場の経営会議に出席させられるとともに管理職メンバーにだけさまざまな情報が回ってきています。4月からはその足かせが外されます。月に一度の経営会議にも出なくていいだけでなく、知らなくてもいいトップシークレットの情報も回ってこなくなります。

5年前、職場の医局長職を退いたとき、毎日のように各部署から回ってきた情報や相談事がピタッと止まったことを思い出します。今まで当たり前に入ってきた情報が全くなくなったとき、しばらくは一抹の寂しさを感じましたが、それがとても楽ちんであることに気づくのに時間はかかりませんでした。今回はあのとき以上に情報制限されます。同時に病院全体の衛生委員会メンバーからも外させてもらったので、さらに病院全体の情報も入ってこなくなります。

おそらく、今までこれが当たり前だと思っていた諸般の情報に関わる操作も変わることでしょう。早く知っておいて良かったことはほとんどありませんでした。むしろ、知りえた情報を他言しないようにすることが意外に大変でしたから、知らないなら知らない方がきっと楽。そう期待しております。でも、やっぱりちょっと寂しいかな。

 

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もう一息なのだけど

高血圧症治療のやり直しを始めて早4ヶ月。昨日は薬剤をひとつ足してから三ヶ月後の外来受診でした。一週間前に再びやった24時間自動血圧計測定検査の結果の評価。

結論から云うと、「ほぼ良好に下がっているけれど、厳密にはまだ降圧基準に達していません。それと利尿剤の影響で血中カリウムが若干低下してきました」とのことで、もう一剤追加になりました。
●今回(2024/3/25) 
一日平均 131/85mmHg(昼間135/87mmHg、夜間114/75mmHg)
●前回(2023/12/18)
一日平均 133/88mmHg(昼間135/90mmHg、夜間121/81mmHg)
●当初(2023/11/06)
一日平均 153/100mmHg(昼間159/105mmHg、夜間132/81mmhg)

なんと客観的データでは12月から利尿剤を加えたのに特に昼間はほとんど変化がなかったことになります。これはちょっくらショックでした。なぜなら、日常では朝の血圧がいつも120/80mmHgで夜は110/60mmHgなんて値も出てくるくらいに下がっていて、利尿剤の追加効果は絶大だなと喜んでいたからです。今回加わったセララ(エプレレノン)は非ステロイド型のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MR拮抗薬)(アルドステロンの働きを阻害するのでアルドステロン阻害薬ともいう)。「追加するかどうかは先生の判断に任せます」とは云われたけれど、脳動脈瘤のこともあるから、どうせがんばるならきちんと下げたい。ということで今日から三剤(一つは合剤だから正式には四剤)併用ということになりました。「あとは、運動や減塩をもっとがんばってもらって」と付け加えられましたが、お言葉を返すようですが、わたしにはもうこれ以上の運動や減塩はできませぬ。

ゴールデンウイーク明けに再評価予定です。

 

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別府温泉に浸かりたい

「温泉」が腸内細菌叢に良い影響 泉質によって異なる健康効果 温泉療法は肥満・メタボの人にも良い

温泉⼊浴が、ビフィズス菌を増加させるなど、腸内細菌叢に好ましい影響をもたらし、健康効果につながる可能性があることが、九州大学の研究で明らかになった。温泉⼊浴が腸内細菌叢にもたらす影響は、炭酸⽔素塩泉ではビフィズス菌が有意に増加するなど、泉質によって異なることも分かった。「温泉療法の理論的根拠を見い出し、温泉療法や健康促進プログラムを開発することで、より個別化されたアプローチが可能になり、地域活性化にも寄与するものと期待されます」と、研究者は述べている。”(保健指導リソースガイド2024年03月18日公開)

これは、九州大学の研究グループが別府市と別府市旅館ホテル組合連合会と共同で温泉の効果の検証を⾏ったものらしい。うんうん、別府温泉のお湯質はたしかにすばらしい。それは入ってみれば素人でも分かります。特に鉄輪温泉の湯は最高!と熊本育ちの妻がいつも云っております。ただ、温泉の湯に浸かることによる温熱効果が代謝や免疫に良い効果をもたらすことは想像できます(温泉療法とか温熱療法とかは学問的なエビデンスもたくさんあります)が、「お湯を飲む」というわけでもないのに腸内細菌叢が変化してビフィズス菌が増加するなどという現象が、素人にはちょっとわかりにくいところではあります。

とはいえ、「温泉に浸かると健康になる」が実証されたことは素晴らしいことです。隣県の別府温泉はもとより小国や阿蘇温泉郷などの地元熊本の温泉にもなかなか行く機会はありませんが、さてさて我が家の近くのホテルやスパにある”温泉”でもその効果はあるのでしょうか? 一応、効能が表書きされているれっきとした”温泉”ばかりなのですが。
 

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『健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023』

高齢者の身体活動量、推奨値を変更/厚労省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」

厚生労働省は健康・医療・介護分野における身体活動を支援する関係者を対象として、身体活動・運動に関する推奨事項や参考情報をまとめた「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」を2024年1月に公表した。「健康づくりのための身体活動基準 2013」から10年ぶりの改訂となる。” (Care Net 2024/03/19公開)   

 ”今回の改訂では、「健康日本21(第三次)」のビジョン1)の中で示されている「誰一人取り残さない健康づくり(inclusion)」ならびに「より実効性をもつ取組の推進(implementation)」の観点から、ライフステージごと(成人、こども、高齢者)に身体活動・運動に関する推奨事項をまとめるとともに、「慢性疾患(高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、変形性膝関節症)を有する人の身体活動のポイント」「働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント」など個人差を踏まえた推奨事項を示している

今回の改訂では、「健康日本21(第三次)」のビジョン1)の中で示されている「誰一人取り残さない健康づくり(inclusion)」ならびに「より実効性をもつ取組の推進(implementation)」の観点から、ライフステージごと(成人、こども、高齢者)に身体活動・運動に関する推奨事項をまとめるとともに、「慢性疾患(高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、変形性膝関節症)を有する人の身体活動のポイント」「働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント」など個人差を踏まえた推奨事項を示している” ”成人・高齢者ともに「座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意する(立位困難な人も、じっとしている時間が長くなりすぎないよう、少しでも身体を動かす)

と云う中で、高齢者の具体的な指標では、
●強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行う。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行う(1日約6,000歩以上に相当)
●筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を週3日以上行う
●筋力トレーニングを週2~3日行う(多要素な運動に含めてもよい)
だそうです。

で、こういう場合の『高齢者』は65歳以上ということでいいのでしょうか。つまり、わたしのこと?

 

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うしろの正面

私は散歩が好きです。愛犬の散歩だけでなく、休日の朝などには独りで家の近くを小一時間歩くこともよくあります。わが家の近くにある江津湖の湖上には水鳥たちが泳ぎ、湖畔に植えられている季節の花々を愛でることができます。地元のボート部の若者たちが何艘ものボートを滑らせている光景も見えます。先日、そんな湖畔の長閑な散歩コースを、思い立っていつもと反対向きに歩いてみました。ただただ単純に湖畔一周をまったく反対向きに。いつも左側に見える湖面を右側に眺めながらの一周。ところが、ただそれだけのことなのに目の前に見える光景がまったくいつもと違う別のものに見えて面食らいました。「こんなところ、本当に今まで歩いていたっけ?」という戸惑いの中で新鮮な感動を経験しました。

『後ろを振り返る』ということは人生においてとても大事なことです。「あれをしなければならない」「こうすべきだ」と一心不乱にまっすぐ前を向いてひたすらがんばっていると、自分の前に伸びる道は遙か向こうまで果てしない細い一本の筋に見えるかもしれないけれど、自分の後ろにできた足跡は決して一本の筋だけではなく、自分を頂点にして末広がりに広がった風景の中にあることに気づきます。知らないうちにこんなにたくさんの経験をしてきた結果として今があるのだと気づくでしょう。前だけ向いていたら見えなかったものが自分の後ろには想像以上にたくさん隠れていたことに驚くはずで、これに気づかないのは人生の半分を捨てているようなもの。日々がんばっている方ほど、時には自分のやって来たことをちょっと振り返ってみてください。絶対に新しい発見があると思います。

などと、ありがちなアドバイスをしたことは何度もあるのですが、ただ、理屈では分かっていても余裕のない日々の中で立ち止まって『後ろを振り返る』というのはなかなかできるものではありません。振り返って後ろを見るのは、わたしの様に過去に後悔してため息をつく時ばかりです。でも、今回、単に『反対向きに歩く』という気まぐれの行動だけで『後ろを振り返る』と同じことが見えてくるのだと実感できました。今度、このことを連載コラムに書いて皆さんに伝えようと思いました。ということで、原稿メモとしてここに記録。

 

 

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オンとオフ(3)

小中学校の卒業文集を廃止にする学校が増えてきているというニュースを昨日テレビで見ました。理由は、担任の先生方の仕事量が途方もなく多くなっていて、”働き方改革”の政府の方針に従うと「卒業文集を作る」時間がないから、だとか。たしかに、子どもたちのためには作ってあげたいと思っても、文集を作るための編集作業は想像以上に大変ですから、時間外労働をしない限り絶対に作ってあげられないものではあります。中学校なら子どもたちだけで作ってもいいのかな、とは思うけれど、個人情報やハラスメントの問題など今はコンプライアンスチェックの厳しい時代なので、それはそれで難しいのかもしれません。

わたしの小学校のときの文集の題名はたしか『楠の木』。自分たちで文字を書いて自分たちでガリ版擦りして先生と一緒に自分たちで作り上げた記憶があるのだけれど、記憶違いなのかしら。何を書いたかすっかり忘れたのに、あのインクのにおいは今でも思い出すことができます。デジタル時代になった今でもあのアナログの思い出は絶対的に暖かいもの。何とか残してあげたい文化ですが・・・残念です。

そういえば、一昨日のテレビ番組で、「今、日本は働かない人間が増えている」という話があっていました。かつて『働き過ぎ』『働き蜂』と世界中から揶揄されて、日本人といえばイコール『勤勉』だったのに、「働き過ぎで過労死やメンタル不調が増えるのだからもっと休養を!」と働き方改革案が出されたと思ったら、だから「がんばって働かなくてもいい」という概念になって、「できるだけ働かなくてちゃんと金をもらうのは正当だ」という風潮が幅を利かせてきているのだとか。なんかちょっと違うんじゃないかな?と感じるのはわたしが昭和オヤジだからでしょうか。

 

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決断の時

「もう必要のない学会とは縁を切ろうかな、どうしようか」・・・と悩みながらウジウジしていたらもう1年が過ぎようとしています。そろそろ今年も学会年会費の請求書が続々と届く時期になりました。

定年を迎えるこの3月こそが区切りの時。必要のない学会を辞めるなら今しかないなぁ、と届いた振込用紙を眺めながら再び悩んでおります。抗加齢学会や総合健診学会など今の仕事に関わる学会や人間ドック学会や心リハ学会などの専門医資格を有する学会はさておき、臨床現場にいた頃から続けている循環器関連の学会やティーテルアルバイトに関わった核医学学会はもういいかな、とか思うわけです。でも一方で、それこそがわたしの医者としての証=『自分の専門』として関わってきた世界なので、これを完全に捨ててしまうのは自分の医者人生を切り捨てるのと同じじゃないかという想いがあってとてもさびしい気がするし、その世界でできた人間関係も含めた全部に終止符を打つ感じがしないでもないのであります。

うーん。悩むけど、やっぱり今が決断の時! 昨年退会した心臓病学会に加えて循環器学会と核医学会は思い切って退会届を出そう! あと、脳ドック学会も要らない。問題は日本内科学会だなぁ。これこそ絶対に要らない学会なのだけど、内科医として何かと手続きの足枷になる(内科学会に入ってないと関連の専門医が取得できない、とか)といわれて入っているけれど、今持っている専門医資格の学会は内科学会なんて関係ないはず。辞めてもいいはずなんだけど、自信がない。

なにしろ学会の年会費ってとても高いのです。学会誌も通信費もデジタル化しているご時世で本当にそんなに必要なのか?と思ってしまうほど高い。うちは医局費で払ってもらえる(全額、わたしが産業医業務をやって稼いだ金だけど)からこそ続けているけれど、各自で払えと云われたら即退会せざるを得ないのが現実です。よし、踏ん切りつけられたうちにさっさと退会してやろう!

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『世界睡眠デー』

昨日は、『世界睡眠デー』。世界睡眠学会が毎年3月の第3金曜日(春分の日の前の金曜日)に定めた、睡眠に関する正しい知識を啓蒙・啓発する日でした。

3月15日は「世界睡眠デー(World Sleep Day)」だ。厚生労働省のスマート・ライフ・プロジェクトは、「寝ても疲れがとれないなら要チェック! あなたの睡眠の質は大丈夫ですか?」の特設Webコンテンツの公開を開始した。睡眠の悩みを解消する方法やぐっすり眠ってすっきり目覚めるためのコツなどを紹介。睡眠の専門家が、睡眠の質を上げる3つポイントなど分かりやすく解説している。睡眠障害に悩まされている人は多く、睡眠障害は生活の質(QOL)や生活満足度の低下と強く関連しており、働く人の生産性の減少にもつながる。”(保健指導リソースガイド 2024年03月12日配信)

睡眠対策:健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)

睡眠が人間の健康を司る基本であることは周知の事実であって、ここでも何度も取り上げてきましたが、現代を生きる人間にとって、「睡眠不足で眠いけれど、でも寝たくない」誘惑だらけではありますし、睡眠に対する情報は血圧治療や糖尿病治療に対する情報以上に千差万別。コマーシャルレベルの魑魅魍魎(ちみもうりょう)や怪しい持論の医療者たちの提言の中で右往左往させられている現代人のいかに多いことか。

一応、常識的なチェックリストを自分の場合で見てみると
1.休日も含め、毎日一定の時間に起きるようにする。→◎
2.コーヒーなどカフェインを含むものを夕食以降とらない。→○
3.少なくとも寝る30分前は、スマホ、タブレットなどを見るのを避ける。→×(ベッドで眠くなるまで眺めてるから)
4.食事は寝る2時間前にすませ、寝酒は飲まない。→○
5.ぬるめの湯にゆったり入る.→最近◎
6.自分なりの入眠儀式(本を読む、歯を磨く、ストレッチ、音楽を聴くなど)を決めて実行する。→△(歯磨きだけだから)

こんな感じでした。もっと詳しくは上記のwebで確認してみてください。「もうどうせ分かっているし」「オレはどうもないから気にしていない」「したくても仕事があるから無理なのさ」などと、見ない理由付けを並べている人こそ見てみていただいきたいものだと思います。そんな人たちへの啓蒙啓発のために毎年『世界睡眠デー』を制定したのですから、是非。
 

 

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オンとオフ(2)

(続き)

医療の現場ではおそらく患者さん側の意識改革も一緒にしないと解決しないと思います。仕事の取引と違って自分の病気や健康のことなので、一筋縄ではいきますまい。医者の方が皆同じ深さで関われないのは致し方ない。どんな濃厚な申し送りをしてもどんな細かいカンファレンスをしても、おそらく最初に関わった主治医以上の思い入れと情報力は引き継いだ者やチーム内のスタッフでは太刀打ちできますまい。つまり、受ける側もする側もその程度の関わり方になることを前提にしなければ成り立たないのではないかと思っています。

わたしが予防医療に関わるようになる前に所属していた部署では、『チーム医療』の概念を遠い昔から掲げていました。検査のエキスパートが検査をし、治療の方針をカンファレンスで決定し、決められたスケジュールに則って治療のエキスパートが治療をする。たまたま関わった主治医の力量で治療の質が変わることのないように、ということでそうやってきました。でも、結局、患者さんが頼るのはその”たまたま”の主治医です。「わたしはそんな流れ作業が”医療”だとは思えません。わたしは最初から最後まで責任を持って治療したいし、その責任を持つべきが”真の医者”だと思う」と云って、退職した若い医師がいたけれど、彼は今どんな医者になっているでしょうか。

医者ほどオンとオフが不明瞭な人生を送る職業はないかもしれないと思っています。勤務医より開業医の先生の方がもっとそうかもしれません。年末年始や日曜日にも病棟に顔を出して受け持ち患者の聴診をしてカルテ書きをしていたら、病棟担当のチーフナースが「先生たち、他にすることはないの? 休みの日ぐらい仕事のことを忘れて遊びに行くなり女の子とデートするなり、もっとすることがあるでしょ!」と叱られた研修医の頃をふと思い出しました。そういうことも、今は昔。最近の若い先生方はオンとオフの使い分けなど当たり前にこなしているのでしょうか。

 

 

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オンとオフ(1)

『人を救うには、まず自分が健康でなければならない』

これは日本救急医学会が働き方アクションプランで提唱しているポスターの標語です。この横にはさらに小さな文字で以下のようなコトバが付け足されています。

********************

そうでないと、判断を誤る。スタッフが迷う。
家族が心配する。自分を責める。
もしキミが救急医になるのなら
まず自分のことを最優先に考えて欲しい。
それを非難する人がいるならば、
私たちが引き受ける。
高齢化は進む。医師は足りない。
だからこそ救急医が健康であること。
これは義務だ。

********************

このポスターが職場の医局の前に掲示され始めて久しい。「医療現場の働き方改革は困難だ、特に救急医療を行う現場では使命感に包まれた医者の熱意で助かるか助からないかが決まるのだ!」とわたしたちの世代の医者は皆そう考えてやってきました。でも、それによって過労死が増え、メンタル不調が増え、医者もひとりの人間であるという当たり前の原点に立ち返る必要に迫られている今日この頃です。『チーム医療』で皆がカバーし合ってがんばればできないことはない、という思いも当たり前になってきました。

ただ一方で、病棟で受け持ち患者を持つ医者、外来で受け持ち患者を持つ医者・・・こっちの方がチーム医療はやりやすいし有給休暇をとってオフを楽しむことは容易いと思われがちですが、現実はそうでもないように思います。受け持たれている患者にとって、チーム医療は「多くの先生が自分を見守ってくれている」という事ですよと云われても本当は納得できません。「自分のことを分かってくれるのは●●先生だけで他は形だけでよそよそしい」と感じる患者さんは多いと思います。たとえば愛車のディーラーさんで最初の車を購入したときに担当した人が退職して担当を交代したとき、次の担当の人とは最初に担当した人ほどは深い関係にはなれないもの。細かい相談事をすることをお互いに気遣ってしまいます。それがさらに次の担当に代わったら、もはやこっちから連絡しない限り必要最低限の連絡しかしてこなくなるのは必定だと感じています。おそらく医療現場だけでなく普通の会社でも、営業職は特に自分の担当する取引先の細かいことは自分しか分からないし相手も自分を信用して取引してくれていることを実感しています。だから、自分の体調が不調でも何とかがんばろうとする・・・企業の産業医をしながらメンタル不調で倒れていく人たちを見ていると、皆そんなジレンマに悩まされているように感じます。 (続く)

 

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褒め上手

昨日、仕事帰りに歯科クリニックでメンテナンスのクリーニングをしてもらいました。4ヶ月前に治療を終えた時に予約をして帰ったものです。「4ヶ月ごとにメンテナンスに来てください」と云われながら行かなかったら何らかの不具合が出てきてやむを得ず受診というパターンを繰り返していましたので、メンテナンスだけで受診するのは初めてでした。前もって予約しなかったら、またまたしばらく放ったらかしていたかもです。

今回は特別なトラブルはなかった自信はあるものの、診察台に仰向けに寝てタオルを被せられて口を開けてチェックを受ける間、ドキドキしました。わたしが健診で胸に聴診器を当てているときの受診者さんの気持ちがちょっとわかった気がしました。ひととおりチェックをした後、「すごいですね。ほんのちょっとだけ歯垢があるけどほぼ完璧。丁寧に磨いてあってとても綺麗ですよ」と云ってもらえました。この人は昔から褒め上手な人だということは知っていますが、それでもこんなことを云われて嬉くないはずがない。これからもマジメに歯磨きをしよう!と誓いました。これ、とても大事なことですよね。「特に悪いところはないですね」と淡々と云われるのと、「こんなにきれいに磨いているのは素晴らしい」と褒めてもらえるのと、今後の頑張り具合が違って当たり前。わたしたち、話をしてモチベーションをあげさせる仕事をしている人間にはとても参考になるエピソードでした。

もちろん、帰りにきちんと4ヶ月後の予約をして帰るのも忘れませんでした。

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2024年スーツのズボンが入らないぞ問題

今年4月から施行される働き方改革関連法による『2024年問題』(自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限960時間に設定されることに伴うドライバー不足の問題)が世間でもやっと認識されつつある昨今、今後はタクシーもなかなかつかまらないという悩みも生じるかもしれませんが、今現在のわたしの喫緊の課題はもっと深刻です。

急激に膨らんできたわたしのお腹。たぶん、冬用スーツのズボンのホックが留まらない! もうかれこれ4年近く、スーツを着ていません。コロナ禍の影響でリアル学会も開催されてこなかった(同時にオンライン開催が普通だったので無理して遠くまで行かなくてもよかった)し、同じ理由で送別会や歓迎会も参加しなくてよかったから。産業医勤務やちょっとした研究会にはジャケット姿で参加してきたけど、そのときのズボンもここ2週間の間に一気にキツキツになっています。これだと、たぶんわたしが持っているスーツのズボンは入らない。4年半前に久しぶりにスーツを着ようとして入らずに一生懸命お腹を引っ込め続けて3時間、ずっと立ってやり過ごしたことを思い出します。あのとき、半年後に新潟の学会に行かなければならなかったから、必死で10キロ近くダイエットして事なきを得たのでした。あのときと同様の危機が迫っています。今月末にある職場の退職者壮行パーティーのドレスコードはたぶんスーツだと思うから。その日まで2週間ちょっとしかない。どうする、自分?

ちょうど一年前、大腸ポリープ切除術を内視鏡で受けたとき、「今から1週間は酒を飲まず、その後も2週間くらいまではできるだけ低残渣食と禁酒を心がけください」といわれた結果、体重が勝手に3キロ減りました。今の体重が当時の減量前の値に近いのだから、あれを実行すれば何とかなるのではないか? うん、それくらいのことならできるかもしれない。大宣言する勇気がないからここにこっそり書いて、今日からダイエットを始めてみましょう。運動量を今より増やすよりこっちの方が現実的だし。ただ、モチベーションという点では昨年ほどの強さはない。「術後大出血したら大変だから、きちんと守ってくださいよ」と釘を刺されたという大義名分の方がはるかに重いから。でもまあ、とりあえず今日から始めます。

仕事から帰宅してすぐに冷蔵庫を開けてビールを取り出さなければ、パントリーを開けてお菓子に手をかけなければ、きっと成功するはずです。

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降圧の体感

「先生、もう少し血圧を下げないといけません。内服薬を換えますね。今のより強くなるから、もしふらふらするとか動悸がするとか何かおかしな事があったらすぐに連絡してください」

20年来、いい加減に処方していた内服薬がどうも効かなくなってきているなと感じ始めて約1年(それ以上か)、重い腰を上げて循環器外来を受診したのは昨年末でした。ドキドキしながら新しい薬を服用し始めましたが、何日経っても一向に自覚症状に変化がない(血圧は明確に下がりましたが)。数日後、廊下ですれ違いざま主治医が「大丈夫ですか?何事もないですか?」と聞きましたが、「いや、何も変わりありません」と答えました。約一ヶ月服用してから外来受診したらまだ降圧目標に達してないからということでさらに1剤加わりました。「今度も、何かあったら連絡ください」と云われましたが、結局これも変化なし。血圧は満足できる値まで下がりましたが、以前飲んでいた薬のときと自覚症状に変わりがないので今ひとつ実感が湧きません。

たしか20年近く前、初めて内服薬を服用し始めた頃、「自分はどうもないと思うけど血圧が高くなったからそろそろ飲み始めようかな」と思って服用し始めたのですが、あのときはアタマがウソのようにスッキリして毎朝気分爽快! 「何も症状がないと思っていたけれど違っていたんだな」という体感が明確にありました。それを期待していたので、ちょっと肩すかしを食らった感じでした。それでも血圧は見違えるように改善しています。体感がないので本当だろうか?と半信半疑なところもありますが・・・。でも、こんなことを経験すると、一般の多くの人たちが血圧治療に今ひとつ積極的になれない原因の一つがわかったような気がします。健診などで血圧が高いからと云って精査や治療の指示が出たとしても、ほとんど自覚症状がないからなかなか受診しない。受診して内服薬が始まったとしても自覚症状に何の変化もないからすぐやめてしまって治療が徹底できない、というのは頷ける話です。

 

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夜間頻尿のその後


1時間~2時間ごとに尿意で覚醒して大量に排尿してはまた寝るという行動を繰り返す毎晩なので、妻からは「あなたのは病気よ」と云われてきました。でも、数年前、尿管結石の砕石術を受けたときに担当医に相談したら、「先生のは単に飲みすぎだと思いますよ」と一笑に付されました。

そんな夜中のオシッコ事情に、ここ1週間くらい異変が起きています。明け方近くに一回起きるかどうかで、ほとんど夜中にオシッコに起きなくなりました。おかしくないですか?別に飲酒量を極端に減らしたわけではありません(もともとここ数ヶ月は少ししか飲みませんし)。どちらかというと体重が増え気味で、「小便に行かないからむくんできたのかもしれない」と云ったら、「何云ってるの。健全になったんだからむしろ今の方が当たり前なのよ」とまた妻からたしなめられる。最近、石に懲り始めた妻は、自分が選んで私の手首に巻かせている石の御利益かもしれないとほくそ笑んでいます。それは・・・まああるかもしれないけれど、きっとそれだけではない。ここ1週間変わったことはないかと考えてみたら、そうか。夕食のときにお茶を飲まなくなった。いつも流し込むように飲んでいたお茶をコップ1杯も飲んでない。このせいかもしれない。

でも、「できるだけ水分はしっかり摂ってくださいね」と人間ドック受診者に説明しているわたしとしては、それはそれでやはり腎臓機能が落ちているのではないかと不安になるところです。「昼間にしっかり水分取っているから昼間にいっぱいオシッコに行ってるんでしょ? それなら全然大丈夫よ」と妻は云うのですが。もう少し様子を観察することにいたしましょう。

 

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健診後の受診勧奨

健診後の早期受療、死亡リスクを減少させるか/阪大、NCGMほか

血圧や脂質、血糖などに問題のあるハイリスク者について、健康診断後の受療行動は、その後の生命予後に影響するのだろうか。大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座の董 加毅氏らの研究グループは、全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険請求データベースを使用し、国立国際医療研究センター(NCGM)と共同で高リスク集団における健診後の受診時期と心血管イベントによる入院と全死亡リスクとの関連を検討した。その結果、健康診断後の早期受診が、高リスク者における主要心血管系イベントの入院および全死亡のリスク低下と関連していた。Atherosclerosis誌2024年1月号に掲載。” 

健康診断後の早期受診が、高リスク者における主要心血管系イベントの入院および全死亡のリスク低下と関連するというエビデンスを示唆できた”(Care Net 2024/02/20公開)

予防医療に20年も従事してきている医者としては、とてもうれしいデータ。だからこそ、「症状がないから」「忙しいから」と言い訳して逃げて行こうとする人たちに強く受診勧奨すべきである!というより、『受診勧奨する義務』がわたしたち予防医療従事者にはあるということを再認識いたしました。
 

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卵と脂肪肝

週3個以上の卵が脂肪性肝疾患と高血圧を予防?

 ”卵の摂取が脂肪性肝疾患(steatotic liver disease)と高血圧症に対する保護的な効果を示し、週3個以上の摂取でそれらの発症リスクがより低くなることを、イタリア・Saverio de BellisのRossella Tatoli氏らが明らかにした。Nutrients誌2024年1月31日号掲載の報告。” Care Net 2024/03/01公開)

鳥インフルの影響で高騰していた市場価格が下落していたのにJAの操作によってまた今月から値上がりに転化しようとしているらしい卵。これは日本ではなくてヨーロッパのデータではありますが、こういう報告はうれしい限りです。わたしは妻が作ってくれる毎日の弁当に卵二つが入っていて(卵焼きとして)この条件は十分に全うしています。高血圧症治療中だからこそうれしい話題なわけですが、さてさてこの弁当習慣は遠い昔からずっとなわけです。高血圧と卵の関係、本当に信じて良いのかしら(まあ、負の相関にはならないのだからいいですけど)。

そして、世の食材の大部分に卵が含まれている昨今、一番困っているのは卵アレルギーの妻でしょう。表だっての卵料理でなくても、材料の一部に卵が使われているだけで激しいアレルギー症状を起こす今日この頃です。そんな彼女を見ていて分かりました。昨今の既製品の食品や食堂のメニューやの中に、卵が含まれていない物が如何に少ないか。多分、意図して卵を使わないようにしない限り、料理の原材料に卵が使われていないものなどほとんどありません。

ということで、少なくとも日本では、卵アレルギーの人を除いて、おそらく多くの人は週3個以上の卵なんて、意図するしないにかかわらず食べているのではないでしょうか。

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COVIDマイノリティ

昨日、わたしの勤務する病院の衛生委員会で、「これまでに、うちの病院職員の約70%以上がコロナに感染しました。複数回感染した人もかなりいます」と職員健康管理室のナースが云いました。「そうですよね。みんな感染するのも無理はありませんね。このメンバーの中で、まだ感染していない人なんか居るんですか?」と議長。申し訳なさげにそっと手を上げたのはわたしだけでした。「え、本当に罹ってないんですか? すごいですね」と云われました。

「みんなしっかり免疫ができてきましたね」と総括されて・・・いつの間にか、わたし(妻も義母もそうですが)の方がマイノリティ(少数派)になってしまいました。「どうすると罹らないんですか?」って聞かれたけど、別に何もしてませんよ。そりゃ、きちんとマスクしてきちんと手洗いして、身近な人と以外では外食も宴会も参加しないように徹底したし、子どももいないから学校関連や会社関連で家庭に感染を持ち込む機会もないし、ずっと街中にも出歩かないようにしたのは確かだけど、そんな人は感染者の中にも沢山いるでしょう。わたしたちが感染しなかった(もしかしたら感染したかもしれないけど、発現してないから検査してないのでわからない)理由はそれだけではありますまい。

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「飲酒ガイドライン」げな。

国内初の「飲酒ガイドライン」を公表/厚労省

2月19日、厚生労働省は飲酒に伴うリスクに関する知識の普及推進を図るために「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表した。本ガイドラインは、アルコール健康障害の発生を防止するため、国民一人ひとりがアルコールに関連する問題への関心と理解を深め、自らの予防に必要な注意を払って不適切な飲酒を減らすために、個人の適切な飲酒量・飲酒行動の判断の一助となるよう作成された。”
”基礎疾患等がない20歳以上の成人を中心に、飲酒による身体等への影響について、年齢・性別・体質などによる違いや、飲酒による疾病・行動に関するリスクなどをわかりやすく伝えるとともに、考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や配慮のある飲酒の仕方や避けるべき飲酒方法などについて示している。” (Care Net 2024/02/22公開)

 『酒飲み』にとって「自分は大して飲んでない」「たしなむ程度」と思っている量が、明らかに過量なわけで、『酒飲み』の家族は、「ほれみたことか」「この際、止めなさい」と云いたがり、『酒飲み』本人は見たくも知りたくもないガイドラインでしょう。わたしは長いこと後者でしたが、高血圧症の治療をきちんとやり直したあたりからマジメに節酒に取り組んでおりますのよ。

ちなみに、飲酒量と疾患の関連が具体的に列記されていたので、コピーしておきます。
・脳卒中(出血性)[男性:150g/週(20g/日)、女性:0g<(-)]
・脳卒中(脳梗塞)[男性:300g/週(40g/日)、女性:75g/週(11g/日)]
・虚血性心疾患・心筋梗塞[男性:現在研究中、女性:現在研究中]
・高血圧[男性:0g<、女性:0g<]
・胃がん[男性:0g<、女性:150g/週(20g/日)]
・肺がん(喫煙者)[男性:300g/週(40g/日)、女性:データなし]
・肺がん(非喫煙者)[男性:関連なし、女性:データなし]
・大腸がん[男性:150g/週(20g/日)、女性:150g/週(20g/日)]
・食道がん[男性:0g<、女性:データなし]
・肝がん[男性:450g/週(60g/日)、女性:150g/週(20g/日)]
・前立腺がん(進行がん)[男性:150g/週(20g/日)、女性:データなし]
・乳がん[男性:データなし、女性:100g/週(14g/日)]
※「参考」については、研究結果の数値を元に、仮に7で除した場合の参考値(概数)。「0g<」は少しでも飲酒をするとリスクが上がると考えられるもの。「関連なし」は飲酒量(純アルコール量)とは関連がないと考えられるもの。「データなし」は飲酒量(純アルコール量)と関連する研究データがないもの。

「0g<」は少しでも飲酒をするとリスクが上がると考えられるもの、ってこの表現、ひどくないですか。もうちょっとオブラートに包んでくれないと、「そんならもういい!」とばかりに、逆に飲酒制限しなくなる人が激増するかもですよ。

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女性の健康週間

女性の「やせすぎ」を啓発 特設Webコンテンツを公開 3月1日~8日は女性の健康週間(スマート・ライフ・プロジェクト)

 ”厚生労働省は毎年3月1日から8日を「女性の健康週間」と定め、女性の健康づくりを推進している。今年は国民運動「スマート・ライフ・プロジェクト」の一環として、特設Webコンテンツを開設。「自分のカラダと向き合う、適正体重の大切さ」をテーマに、「女性のやせすぎと健康の関係」などについて啓発している。”(保健指導リソースガイド2024年02月29日公開)

「スマート・ライフ・プロジェクト」の特設コンテンツでは、元体操選手の田中理恵さんと産婦人科医の能瀬さやかさんが、やせすぎの問題とその健康への影響などについて対談した動画を公開”しているので見てみてください。

理屈はわかっている(詳しくは知らなくても、多くの若い女性は「やせすぎが健康に悪い」ことはわかっている)はずなのですが、それでも『やせ願望』の呪縛から逃れられなくて苦しんでいる女性は少なくないと思います。
・やせすぎ→無月経→骨粗鬆症
・妊婦のやせすぎ・低栄養→低出生体重児→生活習慣病リスク
など、わたしたち医療者は普通に知っていますが、これを当の若いお嬢さん方にしっかりと理解してもらうには、たぶん”喫煙の害”の啓蒙啓発活動以上に、若い年齢層=小学校や中学校のレベルで意識を植え付けないと無理だと思います。
 

 

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