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「昔ながら」を知らない世代

私たちが生活の見直しを提案するときに「昔ながらの生活に戻せばいい」という言い方をします。

昔、日本の食卓といえば「一汁一菜」が基本でした。御飯、味噌汁、漬物。これでは禅寺の修行僧みたいなので、それに干物などのタンパク質の食材が加わる、そんな感じだったようです。私が子供だった頃は、さすがに時々は肉や煮魚がありました。月1回のカレーライスの日は楽しみでした。子どもだった私が肉屋にお使いに行かされたときは、いつも「豚肉100g」でした。父母姉私の4人家族です。私の記憶の中に「牛肉」も「200g」もありません。

私の人生にコンビニが舞い込んだのはいつだったでしょうか?おぼつかない記憶を辿っても、医者になってからだったかもしれません。しかも22時か21時までだったはずです。コンビニは安くないのでスーパーが閉まった後に翌朝まで待てないときだけやむを得ず行くところでした。

車にクーラーがついているのは贅沢でした。世にオートマチックが出たころでも無理してクーラーを付けたら簡単にバッテリーがあがったりエンストしたりしました。アメリカ型の郊外型ショッピングセンターができて皆が車で食品を大量に買い込み始めたのはいつだったでしょうか?それまでは近くの商店街やスーパーまで買い物かごかかえて歩いてあるいは自転車で、が常識でした。

私たちは、「昔ながら」に戻ろう、といわれたときにそんなことを思い出してイメージすることができます。でも、生まれたときからコンビニは24時間開いているもの、夕食は毎晩レストランのようなメニューであり、家には大型冷蔵庫があり、1人に1台のテレビと車がある。そんな世代に「昔ながら」といわれても、きっとわからないんじゃないでしょうか。私たちが「戦時中は・・・」といわれてもわからないように。その世代に生活の見直しを考えてもらうことは、おそらく異星人を相手にする覚悟で、全く違う発想で立ち向かわなければむずかしいだろうと思います。大変です。

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