辻説法
数年前、地元NHK制作のTV番組の中の小さな健康コーナーにゲストで呼ばれたことがあります。その担当の若いアナウンサーの方と打ち合わせをしている時に「先生は日頃どのような仕事をしているのですか?」と聞かれたので、「辻説法みたいなことばかりしています!」と答えました。そうしたら、「『辻説法』って何ですか?」と聞き返されてしまいました。若いとはいえNHKのアナウンサー、そんな彼女に「聞いたことがありません」と云い切られたのは、ちょっとショックでした。「辻説法」なんて確かに使わなければ知らないかもしれませんが・・・雑誌などで見たことがないものでしょうか。
某TVのクイズ番組で、あまりに簡単な問いに答えられず、正解を聞いても「そんなの聞いたこともない」という若者世代を、いつも笑って嘆いてバカにしていました。でも、彼らが特別なのではなくて、彼らの世代が目や耳から吸収させている常識のボキャブラリーの範囲と量が極端に減ってきているのかもしれません。もしかすると情報量が増えて取捨選択する中で、彼らの興味の幅が異常に狭く偏ったところにシフトしてしまったのかもしれません。やはり若いときは無意味にいろいろなことに興味をもつのが大切なんだと痛感します。
私は若い頃から辞書を引くのが好きです。『辻』は十字路、街頭のこと。『辻説法』は、「通行の多い道端に立ち、往来する人々を相手に仏法を説くこと」と辞書には普通に載っています。
「『辻説法』は『辻説法』たい!」と云いたい気持ちをぐっと抑えて、「まあ、世間話をして金をもらっているようなもんです」とお答えしました。もちろん彼女は首を傾げて苦笑いしていました。
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