あなたは糖尿病です!後編
「もともとの体質があるから糖尿病になる」、という話をすると、必ず自分の家系を思い浮かべます。そして、特に糖尿病の親戚が思い浮かばないことで安堵した人が多いはずです。でも、人類がつい数十年前まで大したものも食えずにいつも動き回るしかない生活をしてきたのだということを忘れています。ですから、自分より上の世代を思い浮かべても意味がありません。関係するのは自分の世代か、むしろ子どもさん、お孫さん世代です。日本国民はほとんどみんな糖尿病体質を持っているかもしれないと思っておいた方が無難です。なにしろ、久山町の研究(2008.1.24「トリアス久山」)では、いまや国民の2人に1人以上が糖代謝異常を有しているのです。
さて、糖尿病の話題で、今一番問題になっているのは、実は糖尿病になるかならないかということではありません。ものを食べた直後の血糖が普通よりちょっとだけ高くなる「食後高血糖」が起きているかどうかということです。健診現場でも臨床現場でも、この概念の変化についていっていない医者が少なくありません。実は、動脈硬化の進行は、糖尿病になってからよりもこの「食後だけちょっと血糖が高くなる」という段階に加速度的に進むことがわかってきました。ずっと高い血糖値状態(糖尿病)よりも、高いと低いの差が大きい状態(食後高血糖)の方が血管の壁は傷つき易いのです。そうすると、糖代謝異常の体質を持つ人は、糖尿病になるはるか前から、日頃の食事の摂り方次第で病気を進行させる可能性をもつことになります。もしあなたが「糖尿病予備群です」と云われたことがあるなら、「まだ糖尿病じゃないから大丈夫」などと勘違いしませんように!
厄介なことに、この食後高血糖の有無は、職場の健診ではわかりません。空腹時血糖もヘモグロビンA1c(ここ1~2ヶ月の平均血糖の指標)も正常値のうちから食後血糖は上昇するからです。
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