「メタボちゃん」
「メタボちゃん」という言葉が普通に使われる時代になりました。
「○○課の△△係長を知ってる?」「ああ、あのメタボちゃんね!」というオフィスの会話に何ら違和感を感じません。でも、これは明らかに差別用語だと思います。「メタボちゃん」になった彼は、きっと普通の人より怠惰な生活をしたわけではないでしょう。隣りのオヤジさんと同じものを食べ、同じ様に生活していたらそうなったのでしょう。
「生活習慣病」は、元々それになりやすい体質を持っている人に生活習慣の因子が加わって起きるものです。その「なりやすい体質」というのは、云いかえれば「サバイバルの遺伝子」です。飢饉と飢餓の歴史の中でバタバタと倒れていく人々を踏み越えながら生き抜いてきたたくましい遺伝子ですから筋金入りです。何も食べなくても生きていける遺伝子(倹約遺伝子)があるから真面目にエネルギーを溜め込みます。食べなくても血糖値をきちんと上げられるようにインスリンをあまり出さない体質になりました。ナトリウムがないと血圧が保てませんから少量の塩分でも血圧を上げられるように進化しました。
人類の激動の歴史の中で生まれてきた、この「鬼に金棒」のようなまさしく理想だったはずのものが、現代社会では命取りになる爆弾になってしまったわけです。皮肉な事実ですが、とにかく今を生き抜くにはそれを自分の宿命だと思って諦めるしかありません。病気になってもしょうがないと諦めろというのではなく、「食わない方が元気になる体質」だということを認めるしかないということです。うちの家系もまさしくこの貧乏人体質ですから、法事で集まるたびに親戚みんながどんどん膨らんでいきます。そしてみんなでクスリ自慢をしています。
ま、そのうち天変地異がおきたり、どこかで遭難したときに本領発揮してくれるでしょう。
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