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ガバ下がり

10年前に急逝して突然私達の前から居なくなった同僚のK先生は、多くのスタッフからとても慕われていました。

ある飲み会で、彼はあまり呑めない酒で顔を赤らめながら私に話しかけてきました。「熊本に帰ってきてからずっと気になっていることがあるんです。熊本の人は『ガバ』って使うでしょ?『心電図のSTがガバ下がりした』とか『ガバ上がりしてる』とか。この『ガバ』って何ミリ以上のことをいうんですか?『ガバ』の定義が曖昧すぎると思うんです!」狭心症や心筋梗塞の発作を起こすと、心電図のSTという部分が基本線からずれてきます。その程度が発作の重症度を示します。不満を熱く語りながら、それでも彼の顔は優しい笑顔に溢れていました。

通夜で上司が弔辞を読みました。
「先生は、ナースにとても人気がありました。先生はいつも『面倒な症例やみんなが嫌がる患者さんをできるだけ自分でみるようにしているだけですよ』と、笑いながら言ってましたね。それがいとも平然とできるから、先生はスタッフのみんなに慕われて信頼されているんだなと解りました。。。。」

それを聞きながら、なりふりかまわず号泣したことを覚えています。

悟りを開いた順にこの世から居なくなるしきたりは、ちょっと勘弁してほしいなあ、と思います。

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