不整脈は孫のごとし
不整脈に悩んでいる方がたくさんおられます。不整脈には、自覚症状がなくても精密検査や治療を必要とするようなとても危険なものから、症状が強くてもほとんど治療の必要のないものまで、千差万別です。精密検査を指示されたり、動悸が強くて不安なときには早めに専門医を受診しましょう。まずはそれが先決です。結果によって今後の注意点もきちんと聞いてください。
さて、諸検査の結果、特に生活制限や内服治療は必要ない不整脈であることがわかると、医療現場は「治療不要」のレッテルと共にあなたを院外に簡単に放り出してしまいます。「心配ないから気にしないようにしてください」と云われても、夜中にドキドキするこの症状は消えはしません。気にするなと云われるほど気になるもので、不安な日々に悶々とすることでしょう。
こんな時、私は「不整脈はお孫さんを相手にしているようなものです」というお話をします。心臓に原因がない不整脈は、基本的には自律神経が織りなすイタズラです。不整脈のうち、余分な心拍が入り込むタイプのものは交感神経(神経を高ぶらせる働き)が興奮状態になると出やすくなります。それは、小さなお孫さんが面白がってイタズラを続けているのと同じです。相手をしてあげている限りは面白がって続けますが、無視して相手をしなくなるとつまらないのでイタズラをやめてしまいます。不整脈も、気になり始めると面白がって出てきますが無視されるといつの間にか消えていくものです。ただ、その「無視」ができない。だからお孫さんと同じなんですね。
かわいいお孫さんならイタズラも甘んじて受けることでしょう。不整脈が出る時には、またいつものイタズラが始まったと思って眺めておいてください。そのうち相手の方から興味が他に移っていきます。消えてしまったらしまったで、それもまた何か寂しいものです。
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