餅は餅屋
十年くらい前、出先からの帰りに急に腹痛を催し、なかなか良くならないため病院に帰り着くなり救急外来を受診したことがあります。救急担当医師の簡単な診察の後、消化器内科の当日担当医師のU先生が呼び出されました。
彼の指が私のお腹に触れた瞬間、私はとても驚きました。そのあまりにソフトでデリケートな感触。指と掌でお腹を包み込むように、今までに経験したことのないようなとても優しい触診をしてくれたのです。それは日頃自分が患者さんにしていた無骨で乱暴なそれとは全く別物でした。しっかりと押さえないと奥深いところのしこりに気づかないかもしれないと思っていましたし、研修医時代からずっと触診とはこんなもんだと思いこんでいましたので。そういえば私の触診はすぐお腹に力を入れられてしまいます。私よりもはるかに若い内科医の、小さなリンパ節のひとつひとつまで探しているんじゃないかと思えるようなあの繊細な手さばきを経験してしまうと、今までの自分のやってきた診察が恥ずかしくなりました。
その日は、虫垂炎かもしれない、と外科部長まで救急外来に来てくれましたが、結局は症状が改善してきたので一旦帰りました。2週間後に尿管結石が排出されたことを彼には伝えないままです。
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