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肥満と乳がん

太ると乳がんになりやすい。これは、メタボリックシンドロームや脂肪肝などの弊害に比べるとあまり世間で知られていないことかもしれません。特に閉経後の肥満女性は脂肪組織から大量の「エストロゲン(女性ホルモン)」と「レプチン」というホルモンを分泌して、乳がんを起こしやすくするといわれています。一方、脂肪細胞から動脈硬化予防の救世主として分泌される「アディポネクチン」というホルモンにはそれを抑制する作用がありますが、肥満状態ではアディポネクチンの分泌が逆に減少してしまいますから、乳がんの発生を助長することになります。

子孫を産むことが特権である女性の体は「転んでも臓器を守る」「保温効果」の目的で、皮下、特に下腹部に脂肪が付きやすくできています。種の保存を最大優先にしてそのために保護されてきた女性のからだですから、自分の力だけで頑張りなさい!と放り出されるのが閉経以降です。閉経以降の女性は女性ホルモンの分泌低下と並行して脂肪細胞蓄積に拍車がかかりはじめます。

世間を騒がせているメタボリックシンドロームの主体は内臓脂肪ですが、女性が陥りがちなのは皮下脂肪蓄積による肥満。女性が太った太ったと悩んでいる主体は皮下脂肪で、しかも本来の皮下脂肪からは動脈硬化を抑える作用があるので、皮下脂肪は適量あったほうが良い。それが考え方の基本ですが、過ぎたるは何とやらで、内臓・皮下に関わりなく、多すぎると女性ホルモン系の破綻をきたすことは注意しなければなりません。

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