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捨てられる人

特定健診(メタボ健診)が始まりました。まだ多くの人には実感がないと思いますが・・・。

先日、私の知り合いの男性(55歳)が健診を受けました。動脈硬化危険因子がかなり蓄積していることは昨年から指摘を受けておりとても気にしていました。個人情報ですが、下記が今回の健診結果です。

身長162.4cm、体重64.3kg (BMI24.4)、腹囲81.0cm、血圧130/68、HDLコレステロール28mg/dl、中性脂肪186mg/dl、空腹時血糖103mg/dl、HbA1c 5.8%(糖負荷試験:境界型糖尿病パターン)、喫煙30本/日

どうでしょう? 血圧、脂質(HDLコレステロール、中性脂肪とも)、血糖はいずれも異常です(特定健診の保健指導判定値を超えています)。タバコも吸っていますので追加リスクは4項目すべてひっかかります。動脈硬化の重積リスクはかなり高いといえます。ところが、大前提である腹部肥満(腹囲85cm以上)も過体重(BMI25以上)もかろうじてひっかかりません。つまりこの方は、特定健診としては「無罪放免」に値する「情報提供」レベルと判定されることになります。

世間のメタボ健診に対する批判は、条件が厳しすぎて、問題ない人たちに濡れ衣を着せて無意味に病気を作っていくのではないか、ということが主体です。でも私の懸念は全く逆です。濡れ衣を着せられた人たちは援助を受けて自分の生活を見直す機会を与えてもらえるのだからむしろラッキーですが、問題は、この人のように、明らかなメタボ系異常の人がバッサリ切り捨てられることです。コンピュータによるデジタル化されたシステムの中で、こんなデータの人たちが私たちの目に止まる前に見事にザルからこぼれ落ちます。従事する方々はその点をしっかり意識しておかないと危険だと思います。

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