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自信に満ちていた頃

何をするにも自信に満ちあふれている若者たちがいます。ちょっと冷たい目線ですが効率よくテキパキと事を片づける姿は、おじさんの目には別世界の宇宙人かスーパーマンにみえたりします。でも、きっとわたしにもそんな時がありました。わたしの宇宙人時代は、大学生から研修医時代でしょうか。あの頃のわたしは何にでも尖っていて、まさしく恐いモノ知らずでした。自分が正義でした。理に適わないことは部長にでも指導医にでも食ってかかっていました。自分に厳しく、だから他人にも厳しく、それが正義だと信じていました。震える声で「ふざけてるんじゃねえぞ、この野郎!」とモノを投げてその場を去ったことも数えられないほどにありました。

あるとき、自信のある人間ほど実は自分にも他人にもとても優しいのだということに気づきました。「恩師の遺言」http://satoritorinita.cocolog-nifty.com/satoritorinita/2008/02/post_46ca.html のはるか後になってからのことです。自分の歩んできた生き方がとても未熟な若造のそれに見えました。そして、自分の人生の糧にしていた「自信」がどんどん崩れていくことに愕然とした時期でもありました。

「・・・ぼくの心は丸くて角がなく、ころころしている。青年時代の一時、ぼくの心はささくれ立っていた。そのささくれが、ぼくの心のころがりを止めた。そのとき初めて、心がころころ動いていることの大切さを知った。心がアソビの動きをやめて、これしか生きる道はないと思ったとき、むしろ危険なんだと知った。人生をどう生きようかと、ころころと心が動いているときは、「安心、安心」とぼくは思うようにしている。」・・・鎌田實先生の『あきらめない』の中の一節です(「音楽の癒し力:無言館」より)。この文章を、とても良い言葉だなあと実感として理解できるようになった自分に満足。

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