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ER最前線(後編)

急性心筋梗塞は、心臓の筋肉(心筋)を栄養する血管(冠動脈)が詰まってしまって血液(酸素)が心筋に運ばれなくなった状態で、今まさに心筋が溶けてドロドロになっていっている最中です。ちょっとした圧力が加わるだけで心臓が破裂してしまいますし、溶けて不安定なっている心筋から重い不整脈を起こさせたり、心臓が動かなくなったりすることもあり、命に関わる重篤な病気です。集中治療室で厳重管理されていても突然死する危険すらあります。

医療者としては、そんな生死の境界線にあるような病気だからこそ、最善を尽くさねばと躍起になります。でも、突然思いもかけない病気を宣告された患者さんにとっては、緊急入院してからの1時間は、まさしく通りがかりの山賊グループに略奪・陵辱されたような錯覚に囚われるのではないかと思います。集中治療室では、特に緊急入院した瞬間には、「それどころではない」という空気が優先されて、ややもすると人権が無視される傾向にあります。医療者は、決して人間としての尊厳を無視しているわけではありませんが、なかなかそこまで慮る時間的余裕がないのも事実です。

集中治療室では、テキパキと無駄のない処置を進め、医者の処置にも阿吽の呼吸でついてこれる優秀なオペ室ナースのような看護師さんでないと務まらないと云われています。でも私は、そんな人よりも、そっと必要ないところのシーツを身体に掛けてあげたり、ベッドサイドの仕切りカーテンや治療室の開け放たれたドアをそっと閉めてくれる心配りのできる看護師さんの方が、はるかに好きです。

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