おやつと間食
今回も、職場の広報誌寄稿コラムの転載です。2006年7月号です。
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おやつと間食
いまやダイエットの最大の敵とみなされている「間食」。「これに手を出さなければやせられるのに、今日もまた誘惑に負けてしまったダメな私」なんて、溜め息がどこかから聞こえてきます。間食の否定は健康のための前提条件らしく、学会では間食を摂らせない方法ばかりが議論されています。でも人間の欲求の中で最も基本で大事なものが食欲です。だから「食べる」行為で煩悩と戦わせられるのはとてもつらく、たとえ学会でカロリー制限と寿命に正の相関関係があると発表されても、食べ過ぎない人ほど健康が維持されているというデータを有名な学者が示そうとも、目の前の魅惑の誘いの前ではほとんど無力です。
インターネットを検索すると、「間食=おやつ」と出てきます。昔の農村で、夜明けと同時に起き出て野良仕事をし、遅い朝飯をとった後は夕食まで食事がないので、小腹の空いた八つ時(午後2~4時頃)にうどんやおにぎりなどでエネルギー補給をしたのがおやつの語源です。間食は栄養補給の意味合いが強いので、当時はおやつも間食のひとつだったのでしょうが、全く動かず腹が減らなくても朝昼晩たっぷり食べるようになった現代人には、これ以上の栄養補給は必要ありません。だから「おやつ」は小休止=コーヒーブレイクだと考えるべきでしょう。ずっとパソコンの前に座りっぱなしだったり何時間も会議が続いている人たちにとって、「ちょっとお茶しない?」のお誘いタイムは本当にありがたいものです。糖分補給が脳の疲れを癒してくれますし、世間話(グチ?)をするだけで心のリフレッシュもできます。せっかくのおやつタイムですから、食べることに熱中しすぎず、皆さんと「時間」を楽しんでもらいたいと思います。
栄養補給が重要だと言われている子供たちにとってさえ現代のおやつはただの脂肪蓄積にしかなっていません。おやつの人気一番はダントツでスナック菓子だそうですが、スーパーでカゴ一杯にスナック菓子を投げ込んでいる親子を見つけるにつけ、お母さんがあの子の人生を潰しているんだよなあ、と溜め息を漏らしてしまうのは職業病でしょうか。健康を考慮した菓子もたくさん出まわっていますが、健康に留意し過ぎたお菓子はおやつとしては全く魅力がありません。あのカロリーリッチ・脂肪たっぷりな媚薬のような味と香りだからこそ理性を失ってむさぼり食うのです。もし彼が我慢して一袋だけを選んでカゴに入れることができたなら、わたしは拍手を送ります。今の子供たちにとっての「おやつ」のあるべき役割は、栄養補給ではなくてお母さんとのコミュニケーションでしょう。「ただいまぁ!おなか空いた!今日のおやつは何?」「今日は学校楽しかった?」・・・手作りのおやつで出迎えなさいとはいいませんが、せめて今でもこんな会話をおやつの時間にお子さんとできていますか。
なかなか筆が進まないので、仕事場を抜け出して、某所でコーヒー飲みながらリフレッシュ休憩してきました。ついつい1時間も油を売ってしまったことは内緒にしておきましょう。
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