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円形脱毛症

数年前、旋毛(つむじ)を中心にちょっと大きめの100円ハゲ(円形脱毛症)ができたことがあります。皮膚科に行ったら、半年くらい前に何か大きなストレスがありませんでしたかと聞かれました。私には確かに心当たりがありました。上司からある宣告を受けたあと、1日に1~2時間しか眠れないような睡眠障害に数ヶ月悩まされました。組織の中での自分の存在意義を自問自答し、このまま今の仕事をしていていいのか?と悩み抜いた時期でした。

ちょうどその頃、ある企業で一人の若い女性の相談を聞くことになりました。産業医としてメンタルケアの助言を求められたのです。自分がこの世に存在する意味はないんじゃないかという悩みを切々と語る彼女の話を聞きながら、「今のわたしはこの子と同じだ!」と感じました。これが「うつ」なのかと思いました。彼女の姿を見ながら客観的に自分をみつめることができました。だからあまり大きな深みに入る前にうつの螺旋階段から脱出できたのかもしれません。自分の力で達観したからこそ見え始めたことはあります。自分はどんな医者になりたいと思って医学部に入ったのか、忘れていた初心を思い出すことができました。やりたいようにやらせてもらえる機会は有効に使いたいし、もっと他にしなければならないことがきっとあると、今は信じています。

新年度に人事異動がありました。うちの部署にも見ててちょっと危なっかしいかなと感じる人たちがでてきました。今、まっただ中の彼ら、彼女ら。どうか自らの力で踏み越えてほしい。決して存在意義の否定などありえないのだから。今回も、鎌田實著『あきらめない』から好きな文章を抜粋してきました。

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「がんばろう」と言っている間は一本の道しか見えない。その道から逸れてはいけない、落ちこぼれてはいけないという意識が働きつづける。たくさんのストレスを背負う。心が疲れる。ところが、「がんばらない」と、「ない」という積極的な強い口調の二文字をつけて言った瞬間、道は一本ではなく、三つも四つもあることがわかる。

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