ニワトリのえさ
「毎日毎日、ニワトリのえさしか食いよらんので、力が入りませんよ。」・・・心不全と脂質異常症のため奥さんに食事の厳重管理されていたある男性が、外来で不満気にそう嘆いたことがあります。つい先日も、法事のお説教で、「私はちょっと軽い糖尿の気が出てきて、ニワトリのえさみたいなものだけ食べなさい、と云われました。でも、ニワトリのえさだけで生活するのは当然無理でしょう。」とご隠元さん(和尚さん)が語りました。
彼らが「ニワトリのえさ」といっているのは、刻んだ青野菜やダイコン・ニンジンなどの精進料理ばかりで、肉や揚げ物のひとつも食べさせてもらえない食事の事を指しているようです。それなら最近の我が家の夕飯のおかずはいつもそんなモノです。ボールにたっぷり入った野菜と煮物か冷や奴が基本で、時々焼き魚や煮干しがつきます。それで何か問題でもあります?料理が大好きな妻に料理の腕を奮わせないのは申し訳ないと思いますが、最近は彼女も慣れてきたようで、肉料理や揚げ物料理はすっかり姿を消しました。
「ニワトリのえさ」の何が悪いの?と思います。古来からのニワトリのえさには野菜だけでなく殻になるためのカルシウムもたっぷり入っています。草食動物の理想食じゃないか?と思います。もっとも、最近のニワトリは化学飼料という名の人工の毒物で管理されていますし柔らかくて脂身たっぷりな肉になるように調整されているようですので、極端に抵抗力が落ちてしまってトリインフルエンザなどというチンピラウイルスに簡単に負けてしまうようになってしまいました。毒を盛られて弱い身体にされ、それで仲間が感染したら皆殺しにされるなんて、なんとかわいそうなことでしょう。そういう意味では、人間の世界でもそんな「ニワトリのえさ」にどっぷり侵されてきていることを、しっかり憂慮しなければなりません。
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コメント
昔は、自分の家で作った米や野菜や味噌、茶で暮らしてた。小学校から帰ると、そういうものの手伝いをやらされたものです。
人間の骨格が形成される時期に季節の野菜や穀類中心の食事はおいしくはなかったけれど、今、考えると、何も添加物のない食品だった訳で、老人が若い連中より健やかなのはその辺もあるのかナと思う。
胃袋のことを考えない人間は頭のことも考えない、イギリスの碩学サミュエル・ジョンソンは言ったようだけれど、美食ってのは、最終的には「身体に一番いい」というところに行きつくかも。
毎日の繰り返しの食事。時にいい加減なこともあるかもしれない。でも、命を支える食事だから、もっと真剣に科学していいんだろうな。
投稿: イーダです | 2008年5月26日 (月) 18時59分
今一番元気が良いのは80歳以上のご老人。後期高齢者なんて失礼なことばです。彼らが生きてきた時代が多分現代の人間には一番生きやすい時代だったようです。今一番不健康なのは子どもたちの環境。
きっと、「食べる」ということに科学が入り込んで、理屈で管理し始めた頃からおかしくなってきたんじゃないかと、私は密かに思っています。効率が考えられ、不純物より100%に近い純物が優れていると考えられ、生きているとか死んでいるとか(有機物とか無機物とか)は非科学的だと考えられ、人間を含む生き物たちの心と身体はみるみる死んでいったのだと思います。 合掌。
投稿: ジャイ | 2008年5月26日 (月) 21時16分