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感染症狂想曲

あまりにばかげた騒動が続いています。

採血ホルダーというものがあります。採血用の針をセッティングし、患者さんの血管に刺したまま真空の採血管をつなぐと、必要量の血液を直接取れる優れものです。リキャップしないので針刺し事故も起きにくくなりました。このホルダーを複数の患者さんに使い回しをしていた医療機関が毎日謝罪しています。当然、うちの病院も使いまわしていました。なぜなら、このホルダーに血液がつくことはまず無いからです。それを、まるで感染者の血液がついた不潔なものを使いまわしているかのようなマスコミ報道が続いています。そのために無意味に不安を抱いた患者さんや家族の方も多いと聞きます。検査をしても、この採血手技が原因で肝炎に感染した人は出てこないでしょう。たしかに、ディスポーザブル機器は毎回捨てるように作られているのですから、使いまわすのは違法です。それでも、杓子定規に「ダメ」と役人の一言で括ってしまうのはあまりに実情に合ってないように思いました。結局現時点では、採血ホルダーを各人で替えるためには市場の在庫が足りなすぎるそうで(最初から使いまわすのが前提だった?)、生産が追いつくまでは昔のように注射器で採血して針で採血管に移す作業が必要です。これによって採血をする看護師さんや検査技師さんが感染者の血液を自分の指に刺してしまう事故が起きることは必至です。取った血液が少なすぎて取り直したり、多すぎて捨てたりというムダも増えるでしょう。採血ホルダーが完全供給されてからは毎日大量の廃棄物が出ます。普通の廃棄物扱いでいいはずのものを全て医療廃棄物として扱わねければなりません。大量のムダが出てくることでしょう。

「感染予防」ということばを役人さんは全く履き違えているようですが、彼らにとって大事なことはそんなことではなく、任期中に100%何も起きないこと、なんでしょうね。

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