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コレステロールの誤解(後編)

わたしが産業医をしている、ある全国規模の企業があります。今年の職員健診から全社をあげて総コレステロールの項目が削除されました。代わりにLDLコレステロールが追加されました。迅速な対応で驚いています。

ただ、実際にこのシステムでの健診結果が返ってきてみると、総コレステロールのデータがないととても危険だということがすぐに分かるようになりました。注意しなければならないことが大きく2つあります。

1. 「総コレステロール値が低すぎると危ない」:世間ではコレステロールが高いことにばかり目を向けていますが、コレステロールは細胞やホルモンといった大事なものを作る中心的材料です。不足すると大変です。何もしてないのに減る場合、例えば甲状腺機能亢進症や悪性腫瘍やその他の消耗性疾患の存在を疑わなくてはなりません。命に関わる重大な病気です。でもそれを測定しなくなったので、評価できません。

2. 「non-HDLコレステロール」:総コレステロールが高値なのに、HDLコレステロールもLDLコレステロールも低いことがあります。この場合、HDLでもLDLでもないコレステロールがたくさん存在していることになります。例えば、LDLコレステロールよりも小さくてはるかに動脈硬化を起こしやすい「超悪玉コレステロール」が多く存在する場合です。これもHDLやLDLコレステロールだけ測っていたのではわかりません。悪玉が少なくて良かったと喜んでいるとそれよりも遙かに危険なコレステロールがたくさん存在していることが少なくないのです。

ですから、「判定基準にない」=「無駄だから削除」は実はとても危険なのですが、一支社の雇われ産業医の身としてはこうやってグチをいっておくしかないようです。

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