聴診器
聴診器は内科医の象徴です。特に循環器内科医にとっては命のようなものだと指導されてきました。回診に聴診器を忘れていこうものなら、「キミは病院に遊びに来たの?」と上司からシコタマ怒られました。聴診器は、耳に当てる部分と相手の胸に当てる部分ができるだけ短いのが理想です。大昔の聴診器はほとんど胸に直接耳を当てて聞くようなタイプでした。それでは不便なのでゴムチューブを付けるようになりましたが、長いほど良く聞こえなくなります。わたしが初めて循環器科に就職したとき、持っていた聴診器のチューブを短く切りとられました。現在使っているのは、その後に大奮発して買った、初めからかなり短い循環器用の聴診器です。
健診の診察で心雑音を聴き取ることが珍しくありません。でも、前回までの記録をみると「異常なし」のことが多いのです。この場合、3つの可能性があります。1.前回の医者が心雑音をきちんと聴き取れなかった、2.聴き取ったが問題ない雑音だから「異常なし」とした、3.前回までは雑音が本当になかった、です。一番問題なのは3です。たとえ大した音ではなくても前回なかったのであれば、新たな病気が生じてないかきちんと心エコー検査などを受けるべきです。1.は論外ですが、やはり餅は餅屋、専門医だから聴き取れる音ってあるんですよね。そんなことを常日頃思いながら、先日自分の聴診器を修理に出したため、診察室に備え付けの聴診器を使って診察しました。世間の病院に普通にある標準的な聴診器です。それを使ってみたら、たしかに雑音なんか聞こえませんでした。かなりの病的雑音じゃないと聴き取れません。「そうか!わたしの腕じゃなくて、聴診器の格の問題か!」・・・もしかすると、良く聞こえる聴診器よりもちょっとザル気味な聴診器の方が、健診としては目的に適っているのかもしれないと思ったりしました。
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