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コレステロールの誤解(前編)

昨年のわたしの誕生日に、コレステロール値などに関するガイドラインが変更になりました(動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007 http://jas.umin.ac.jp/guideline.html)。マスコミを通じでかなり浸透してきたようですが、それでもまだ誤解している人がいます。

「高脂血症」ということばが誤解を招きやすいので「脂質異常症」ということばに統一させたいということで、テレビ番組ではその1ヶ月後にはすでに「脂質異常症」ということばを使っていました(うちの施設はいまだに「高脂血症」を公式文書で使っています)。あ、その前に、「動脈硬化性疾患治療ガイドライン」だったものを「・・・予防ガイドライン」に換えてあることは医療者でも意外に知りません。

一番大きな考え方の変換は、総コレステロール値が基本的に脂質異常症の判定基準からはずされたことです。HDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールがあることは有名ですが、多いほどいいといわれているHDLコレステロールが多くなっても総コレステロールが上がってしまいます。世間では総コレステロールを一生懸命下げようと躍起になっていますが、いいヤツが増えたために総コレステロールが上昇しているなら下げるだけムダになります。メタボリックシンドロームが問題になった頃から、医療現場もコレステロールを積極的に下げるのがベストだという考え方が主流になってきて、安易にクスリを処方する傾向になってきました。そのことへの警鐘を鳴らす意味で、総コレステロールを基準からはずしてLDLコレステロール値を基準に入れたのです。コレステロールを見るときは必ずHDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪などを区別して眺めてください。

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