内臓脂肪の誤解
メタボリックシンドロームが市民権を得、特定健診で病人探しの踏み絵のような役目をすることになった「内臓脂肪」ですが、意外にこれが何なのか知らない人が多いようです。
内臓脂肪と脂肪肝をごちゃごちゃにしている人も見うけられます。腹部臓器(胃や腸など)を保護するために腸の表面は「腸間膜」という薄いベールで覆われています。この腸間膜の表面に付着する脂肪が「内臓脂肪」です。ちなみに、脂肪肝というのは、肝臓の細胞のひとつひとつの中に脂肪(一番エネルギー効率が良い)が入り込んでいった状態=フォアグラ状態です。飢餓状態が基本だった日本民族にとって、内臓脂肪はほとんど溜まっていないのが本来の姿だといわれています。腸管ガスがあるので残念ながら腹部エコーでは評価は出来ません。
皮下脂肪と内臓脂肪を区別するのには腹部CTが一番わかりやすい手段です。テレビや雑誌などで見かけたことがあるでしょう。自分のCTを撮ってもらった人もいるでしょう。臍の高さの腹部CTでの内臓脂肪面積=100cm2という数値も世間では腹囲85cmと同じくらい一人歩きしています。日本人の理想は30とか40とかいう数だと聞いたこともあります。ただ、CTの画像というものはCT値で決まります。CT値いくら以下をカットするとか、CT値いくつの範囲を脂肪とみなすとか。つまり、わずかな設定の違いだけで、面積数値は全く違うものになります。100の下が合格(健康)、上が不合格(病人)などという全か無かというものではないことも理解しておいてほしいと思います。
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