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小さながん?

以前勤務した田舎の病院で、ある若い内科の医師が肺炎で入院した患者さんの経過を年老いた妻に熱心に説明していました。その妻は医師の説明のひとつひとつに相槌を打ち、神妙に聞いていました。説明は小一時間で終わりました。

医者が立ち去ったあと、彼女はさめざめと泣き始めました。不思議に思った病棟の看護師が老妻に声をかけました。

「じいちゃんはもう長くないんやろうか?先生の云いよったことはほとんど何のことかわからんかったけど、じいちゃんの胸に小さながんがたくさんあるって云いよった・・・」

「がん?」・・・普通の肺炎で入院してとても経過の良かった患者さんのレントゲン写真に、がんの所見など何もなかったはずです。どうも、彼がわざわざばあちゃんに分かるようにと使った慣れない方言がまずかったみたいです。

「ほら、入院したときはこがん(=こんなに)大きかった影が、今はこがん(=こんな)風に変わっとるでしょ!」・・・あがん、こがん、そがん(=あんな、こんな、そんな)・・・。「こがん」を「小癌」と勘違いするなんてあり得んぞ!と思いましたが、笑い話のような本当の話です。

医者が患者さんに説明をしようとするとき、一般的に若い先生は専門用語を使いたがります。そのため患者さんは理解できずに聞き流す傾向にあるような気がします。年配の先生の中には、どうせわからないんだから、と説明をなおざりにする人がいます。患者さんも全部任せているからと依存していたりします。わたしも何とか理解してもらえるようにと表現をいろいろ工夫してみていますが、どれだけわかってもらえているのかはわからないのが実情です。

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