霊の良し悪し
「怖がるといけないから云わなかったんだけどさ」・・・妻はよくこんな云い方をします。
ある山中の病院に勤務したことがあります。初めて行った年、私たち夫婦は古い平屋の職員宿舎に住みました。細い町道からちょっと高台に上ったところにそれはありました。家の裏側には欝蒼とした林がぎりぎりまでせり出しており、そちら側半分はジメっとした薄暗い家でした。おかげで、大きなムカデやゲジゲジが我が物顔で家の中を通り抜けて、よく朝から大騒ぎしました。4DKの間取りの中央に、二間続きの座敷がありましたが、その中央の境目の鴨居の横に御札が貼ってありました。あるとき、「お札は、家の隅か押入れの中に貼るのが普通じゃないか」とふと思いました。それを妻に話したとき、彼女が重い口を開けました。
「この家には他に住んでるモノがいるみたい。あるいは溜まり場なのかな。一人は座敷童みたいな子どもで、ステンドグラスを作っているときに足もとにまとわり付くの。これはたぶん遊んでほしいだけの良いヤツ。でももう一人が厄介なの。あなたが当直の夜にだけ時々出てくるんだけどさ。寝てると枕元に気配がするから、またムカデかなとか思っていたら、そうじゃなくてね。」・・・そのおばあさんのような女性は静かに枕元に座ってじっと自分をみているのだと云います。その悲しげな風情はゾクっとしてあまり良い感じがしないのだそうです。「ヤバイ!と思うんだけど、その位置から絶対近寄ってこないの。どうもその御札の位置からこっちに入ってこれないみたいなの。」彼女は、わりあい平然とそんな話をしてくれました。
彼女は、以前からわたしには見えない存在をちょこちょこ見てきました(2回の流産(http://satoritorinita.cocolog-nifty.com/satoritorinita/2008/05/post_a85f.html)の後からあまり感じなくなったようですが)。ですから、何も見えないわたしも、いつの頃からかそういう話をあまり特殊なことと思わなくなりました。
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コメント
うーん、怖いお話ですね。それを何気なく話す奥様も凄い。
我々の職業は時々こういうことに遭遇しますね。(@_@;)
ところで、うちの妻がジャイさんに何か用意しているようです。
首の調子のついででもお寄り下さい。
投稿: Haruch | 2010年7月18日 (日) 11時59分
Haruchさん
先生が病院で経験した話は、当事者だから大変でしたね。うちの病院も移転前には今の病院以上にたくさんありましたよ。
ただ、妻の才能はそのお母さんのそれも含めて、私と付き合い始めたときから聞かされて来ていましたから、あまり違和感はありません。むしろ、時空を超えて行ったり来たりしている彼女を羨ましく思ったりしますし、そういう世界の考え方に何の抵抗もありません。妻や義母のような「選ばれし人達」と違って、私はただただ凡人であることがちょっと寂しいですけど・・・。
奥様にはよろしくお伝えください。働かない(病院の仕事をしない)限り首は大丈夫(笑)なので、もしかしたら当分お伺いできないかも・・・(汗)。
投稿: ジャイ | 2010年7月19日 (月) 22時41分