介護サービス(後編)
伯母が介護サービスを受けるかどうか悩んだ最大の要素は、実はもっと別の話でした。介護ヘルパーという赤の他人に自分たちの秘密をすべてさらけ出すことができるだろうか、という懸念です。
もちろん、「夫婦の間のことを他人にお願いするのは申し訳ない」という気の遣い方をする日本人特有の遠慮深さはありましょうが、おそらくそれは表向きの言い訳です。自分の家の中の恥ずかしくて他人には見せたくない部分、あるいは夫婦や人間関係の他人に知られたくない部分が必ずあるものです。それをさらけ出さないといけないことに、二の足を踏む最大の理由があるのです。それは、誰もが持っているプライドなのかもしれません。でも、ほとんどすべてをさらけ出さないと期待するほどのサービスは受けられません。くだらない取り越し苦労だという人もいるでしょうが、やはり心も体もヘルパーさんに委ねてしまう覚悟ができるまでには、葛藤があって当然なような気がします。もともと開けっぴろげな性格でおおらかだった伯母でさえも、そこが最大の壁だったと云います。さらに、初めて会う人と性格が合わなかったらどうしよう、嫌だったら断れるだろうか?断ったら嫌がらせを受けないだろうか・・・。伯母さんの場合は出会った人がとてもいい人だったから、覚悟を決めるのにあまり時間がかからなかったそうですが。
二人暮らしの我が家でも決して他人事ではないこの問題、医療従事者でありながら、わたし(あるいはわたしの妻)も同じような途方の暮れ方を同じようにするような気がします。
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