時代遅れ
日本人間ドック学会長だけでなく、「予防とは病気を早期発見することであり、早期治療を受けることで健康を取り戻すことだ」と考えている医者はまだ世にたくさんいます。うちの病院の医者の大半はそう思っていることでしょう。そしてそれが健診の目的に他ならない、と。だから、健診に一番必要なものは高度で正確な検査結果を出せる機器であり、その結果から病気の存在を見逃さない高い「診断力」を持つ医者が居れば良いのだ、という結論に結びつくのでしょう。
でも、それは「二次予防」に他なりません。今、予防医学の主流になろうとしているのは「一次予防」なのではないのか?わたしはそれを求めてこの世界に入りましたので、その意識の大きなズレが日々わたしを苦しめています。「未病状態のレベルで未然に病気を防ぐ」というのでももはや一次ではない気がするのですが、このレベルより前(健康側)の世界に医者が入り込むのはタブーであり他の人がするべきだという古い考え方は何とか捨てられないものでしょうか?
その反対に、「禁煙は予防医学だ」という古い考え方があります。今回の学会でもフル活動していた中村正和先生(大阪府立健康科学センター)や繁田正子先生(京都第一日赤)が常に言い続けていることですが、「喫煙は病気。病気を治すのは医療の仕事であり医者の仕事。だから、禁煙は予防医学ではなく典型的な治療医学なのである」という考え方の時代になっていることを、世の医者たち、特に第一線の救急医療に携わっている医者たちや経営者・指導者の先生方は早く受け入れてもらえないものでしょうか?
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