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延命治療

「急変した場合に延命治療はしますか?」

夜中に救急で入院してきた患者さんの状況を家族に説明した後、必ずこれを聞きます。連絡をつけられるまで待てない状態のとき、心臓マッサージをしますかしませんか?気管挿管をしますかしませんか?本人に聞くのではなくて(当たり前といえば当たり前ですが)残される家族の満足のために聞いておく、という感じではないかと思います。ERに心肺停止状態の患者さんが担ぎこまれた現場では、一般的に脳外科医は早めに諦めます。循環器科医は機械的にマッサージを始めて根性で心臓を再開させます。前者は植物人間になることに誰も幸せがないことを云い、後者は無駄だと思っていた人が元気に生き返ったことのある経験を主張します。

もうひとつ、終末医療(がん)の「延命治療」があります。こちらは家族にだけではなくて本人にも判断を求めることがあります。人間らしい生き方とは何なのか。期限の切られた人生に延命治療は無駄だ、命を永らえるために抗がん剤を使うので動けなくなるのは人間として本末転倒ではないか、そういう意見は医療の世界にもあります。でも、一方で、「必ず治る」「奇跡を起す」その気合だけで、どんどん元気になれる人はたくさんいます。がん細胞は自分の身体の中の細胞の不良化・暴走族化ですから、更生して堅気の細胞になることがあっても不思議ではありません。

「生きる望み」を失ったとき、それが命の境界線になるのではないか。わたしはそう思っています。

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