人間ドックの使い方
いまだに人間ドックを受診する目的を間違えている人が少なくありません。
「最近調子が悪いから、この際、身体中を徹底的に調べてもらいたい」と云って、予約をする方がいます。こういう方には、できるだけ外来を受診することをお勧めしています。人間ドックはその名の通り、船の「ドック」から命名された日本特有のシステムです。忙しい日常の中で、疲れてガタが来た身体をゆっくり休めながら、一通りの身体のチェックをするのが目的です。ですから、検査は多岐に及んでいますが、その分だけ通り一遍の浅い検査しかしません。こんな検査で、症状の原因をみつけられる可能性は高くありません。症状があるのなら、面倒くさがらずに外来を受診してください。必要のない検査をすることもありませんし保険が通るのできわめて経済的です。皆さん、人間ドックに多大の期待を持ちすぎです!
「頭が痛いから脳ドックを受ける」とか「動悸がするから心臓ドックを受けたい」とか云われる方もいます。専門ドックは内容によってピンキリですが、たしかに特定臓器の深いところまで見てもらえます。それでもわたしはやはり外来受診を勧めます。同じ検査をしても外来の場合の倍以上の料金を払わなければならないところがほとんどです。しかも、治療をする必要があるなら改めて外来を受診しなければなりません。身体のことを考えるとき、「如何に良い検査を受けるか」ではなくて、「如何に検査を最低限にしてその結果をきちんと評価できる医者に診てもらうか」にかかっています。どんなに最先端の検査をたくさん受けたとしても大事なひとつの検査を受けなかったために病名が分からずに命取りになることもあるのです。
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