ウソつき模範生
わたしは子どものころからウソつきでした。教師の息子として、世間の模範生でなければならないと自分を律していたからかもしれません。本心を明かさないという点では、小学校低学年のころから社会人になるまで一貫していました。模範生に見せるためについたウソは決して忘れないようにしました。つじつまが合わなくなるとウソがバレてしまうからです。本心を明かさない、心を開かない、そんな態度に気付いた人はあまり多くないかもしれませんが、何を考えているかわからない男という印象を持った友人は少なくなく、周りとの距離を感じてきました。
小学生のころに祖母や親から金を盗んでいた時期があります。小さなウソをついては親に叱られました。ある晩、両親が相談している声を聞きました。「放っておいたら犯罪者になるかもしれないから、今のうちに児童相談所か少年鑑別所に連れて行こうか?」という内容でした。幼いわたしも、逮捕されるのではないかと怖くなりましたので、犯罪になるようなことはやめようと思いました。
世間体など大したことではないと思うようになったのは、大学に入ってからでした。でもそのころはいい格好をしたい年頃ですので、だらしない正直な自分を曝け出すわけにはいきませんでした。何も考えてなくても何か考えているふりをしていました。社会人になると、「かけひき」というものが大切だと教わりました。大勢に影響がないウソはついてでも自分の社会的評価を上げるのが大人だと教わりました。そんな「かけひき」自体をくだらないことだと思うようになったのはまだここ6、7年くらいです。世の政治家さんや社長さんへ。ウソをついたのはしょうがないとして、ウソがばれたときは潔く全部曝け出しましょう。絶対そっちの方が格好いいと思います。どうせ保身なんて無理なんですから。
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コメント
先生はじめまして。ほぼ毎日読ませてもらっています。
僕の好きな詩人の1人、谷川俊太郎氏の詩を思い出しました。
【うそ】という作品です。
自分の嘘に真摯に向き合うのか
自分の嘘を私利私欲の誤魔化しに使い続けるのか
今日も勉強になりました。
これからのブログも楽しみにしています。
投稿: 別府市キノシタユウイチ | 2008年9月 8日 (月) 23時19分
別府市キノシタユウイチさん
先日は会えずに残念でした。コメントをありがとうございます。ネタが切れると自分のカミングアウトを始めてしまいます。自傷作業ではなくて懺悔作業を繰り返しながら、私が早死にしたときにエッセイ集ができるようにと遠大に計画中です。自らを見つめ直しながら公に懺悔するのはなかなか骨が折れます。これからもよろしくお願いします。
投稿: ジャイ | 2008年9月 9日 (火) 17時49分