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優生思想

「メタボ健診はヘタをすると優生思想に結びつきかねない」という話をある先生の学会講演の中で聞きました。「優生思想」って、何のことかわかりますか?わたしは全く知りませんでした。たしかに妊娠中絶をするときに「優生保護法」というのがあった(1996年に母体保護法に変更)、あの「優生」?というくらいの知識でしたので、この機会に調べてみました(哲学者で大阪府立大教授の森岡正博先生の論文を参考にしました)。

優生思想とは、ナチスのユダヤ人大量虐殺にみられるように、劣った人種や人間を抹殺させてでも、人種や民族の質を保つのが良い、という考え方だと理解しました。現在は、人種の優劣を考える人は白人の一部を除いてほとんどいなくなったと思いますが、では障がい者はどうでしょう。障がい胎児はどうでしょう?出産前診断の技術が向上するにつれて、生まれる前から胎児に障がいがあるかどうか分かるようになりましたが、障がいがあるとわかったときに人工中絶を考える、これが「優生思想」だということになります(優生保護法はこのことでした)。そしてそれは、「社会に障がい者はいない方がいい」ということに他ならないため、健常者のエゴだ!と障がい者の皆さんは反発することになります。障がいを持って生まれてくるのは不幸でかわいそうだから前もってわかっているなら中絶を考える、というのも、基本に障がいはあるべきでないとはっきり云っていることになり、またそんな出産前診断を受けて生まれてきた健常者は両親のふるいにかけられたという感情(障がいがたまたまなかったから生んでもらったがあったら抹殺されていたかもしれない)から親への信頼が揺らぐ可能性はあるでしょう。

何がいいのか悪いのか、深い哲学のはなしになりました。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

只今、仕事場、休憩中であります。そろそろ13時、昼の活動がはじまります。
毎回、知識がタメになる素敵なブログだなと今回も感心しました。
僕自身が障がい者入所更正施設に勤務しているので、特に今回は考えました。
特に、ってことは逆に僕も、この業界に対して何らかの思想に縛られているのかも知れない…と深く考えさせられました。

しっかりしなければ。
ありがとうございます。
がんばります。

投稿: キノシタです | 2008年10月10日 (金) 12時58分

ああ、情けない。誤字の訂正です。
【更生】が【更正】になっていました。たんなる変換間違いでしたが、そこは間違ってはいけないとこで…オレの指先のバカヤロウ。

【更正】の意味は、誤りを改めて正すこと。そんな施設はない。あっあるのか?
でも待てよ。【更生】ってのは、もとの正常な状態にもどるってこと。
更生する、更生させるって、何様なんじゃい!!
って思ったりします。

いまでは入所施設って呼ぶのが多いのも、その部分でしょうか。
害が平仮名になったのと同じ経緯(敬意?だとすればそれも何様なん?)でしょうか。

どんな字を使おうが関係なく、しっかりやろうと思います。

優生思想が優正思想ならどうかしら。などと思いつつ。
んんむ。

あっ以上、訂正でした。

投稿: キノシタです | 2008年10月10日 (金) 15時04分

キノシタさん。

いつもありがとうございます。
私はキノシタさんのような環境の中にないのですが、彼らを「特別な存在」と思うことに何の問題もないように思っています。それを差別というなら差別が当たり前でしょう。ただ、我々凡人が彼らを「何かが足りない存在」と感じるのであればそれは大きな間違いで、彼らは私たちよりもはるかに大きな溢れ出る何かを持たされて生まれてきていますよね。それを我々凡人に分け与えるために生を受けたのではないでしょうか。キノシタさんが今彼らと接していることは宿命なのだと思いますので、あまり正か生かなど気にすることなく、たくさんの恵みをいただいてほしいと思います。

投稿: ジャイ0425 | 2008年10月10日 (金) 23時52分

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