白衣
Medical ASAHI 10月号に「在宅医療の最前線」という特集がありました。仙台で往診専門のクリニックを開いている川島孝一郎先生は白衣を着ません。先生の話にはとても共感できるものがありましたので、そのまま書き写します。
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(前略)・・・「一般病院の外来にいた時、医師が白衣を着て患者に平然と意志決定をさせるシーンを見て、『それはないだろう』と思いました。白衣そのもので、患者には相当の心理負担がかかっているはずなのに、医師は全く気づいていないのです。医師は患者との関係性を無視して、『あなたが選んでください』と選択肢を与える。そのとたんに患者は選択肢との格闘を始めなければなりません。患者が望むのは医者との直接の関係性であり、『私が生きられる方法を一緒に選んでほしい』ということであるはずです」
日本は「治す医療」に関して世界最高のレベルにある。ところが、これまでの医療は治る見込みのない重症者に対して非常に冷たかった。治る可能性に満ちたものを「価値が高い」とし、治る可能性の乏しいものを「価値が低い」とする比較論の所産だ。ここに説明不足が生み出される要因があると考えられる。
「治らない人たちに必要なのは『支える医療』であり、『どのように残された日々を生きていくか』という生き方を示すことです。そうでないと、この人たちは右往左往する。ところが医者は疾病論、症候論で病気の説明しかしません。本当の説明と決定は、白衣を着けない医師と患者が互いに相手を思いやる関係性の中で成立するものです」・・・(後略)
Medical ASAHI 2008,Oct.16-19
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