アンチエイジング
アンチエイジング(抗加齢)医学は、ここ数年で一気に脚光を浴びてきました。最初に日本抗加齢医学会に入会したときは、周りから「怪しい学会に入ったんやなあ」と苦笑いされました。今でも「怪しい」部分はしっかりはらんでいる気がします。それは「アンチエイジング」のことばに対する考え方が千差万別のまま、いろいろな思惑と戦略を持った有象無象が集まっているからだと思います。でも、逆に「科学」とか「学問」とかいう概念に凝り固まっているお堅い学会よりもはるかに面白いとも思います。
アンチエイジング医学とは、老化・加齢のメカニズムを究明しQOL(日常生活)の向上と健康長寿の達成を目的とするもの、と学会誌に書かれていました。ですから、アンチエイジングは「若返り」の学問ではなく、その年代において心身共に最も生き生きとした理想的な健康状態である状態を維持させることが目標なのだそうです。
アンチエイジングを考えるときに大事な事実は、「一部が落ちると全部が落ちる」という真理です。ひとつだけ病的老化が進んだ臓器や器官があると、人間の身体は元気な部分をその悪い方に揃えることでバランスをとろうとします。手術や病気になったりすると急に老け込むことがありますよね。怪我する前まであんなに元気だったのに・・・それが老化のメカニズムです。老化は徐々に進んでいくのではありません。あるとき急に老化します。ですから、アンチエイジング医学はそんな悪循環を断ち切って、高いところ(元気な状態)でバランスをとる心身作りを目指しているということになります。
そう考えると、人間のあるべき姿を最も真摯に探求する学問だとはいえないでしょうか。
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