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損害賠償3460万円!

Nikkei Medicalに、ある医療訴訟の事例が載っていました。ある企業の健診で採血をしたときに誤って腕の神経損傷をさせてしまったというものです。6mlを採血するはずだったが「痛いから止めて」と痛みを訴えたため結局3mlで止めてしまった。翌日わざわざ勤務先に電話して様子を確認したら整形外科クリニックを受診したとのこと。その後この人は不法行為に基づく損害賠償を求めて提訴し、一審は請求棄却でしたが二審で逆転して3460万円の損害賠償金の支払いが命じられました(2006.5.31仙台高裁)。採血中に針先で血管の横の神経を誤って損傷してしまう不可抗力は避けられない合併症のひとつです。そんなことで賠償させられるなら誰も採血なんかしない、という意見はわたしも賛成です。

この記事の中で驚いたのは、「定期健診の一環なので採血量が足りなければ検査が十分行えないはず。なのに3mlで終わったのは重大な事態が生じたと認識していたからだ」というくだりと「駆血帯の縛りすぎで検査を中止したくらいで翌日わざわざ電話確認したりしない」というくだりです。これは判決理由に並べられている裁判官のことばです。わたしたちがその健診現場にいたらどうだろう。縛りすぎで痛がっているならもう一度取り直すことを考えますが、「痛いから嫌だ」と相手が主張したらやむを得ず断念して帰ることはあり得ます。そして、少なくともうちの施設では、おそらく翌日確認の電話をするでしょう。どんな些細なことでも、何らかのトラブルがあったら、きちんと確認し事後処理をする、というのはサービス業に関わる者の当然の行為だと教育されています。そんなことでも頭を下げるんだなあ、と健診の世界に来たときには本当に驚きました。医療現場とは全く違う世界がここにはあります。健診はサービス業、受診者はお客様。徹底されている世界だと感心したものです。でも、そんなことしたら痛くもない腹を探られることもあるんだということを、この記事をみて思いました。

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