医者だから
認知症に限らず、医者が自分の体調の不具合で病院を受診すると、スムーズに行きそうで意外にうまくいきません。
何だかただの物忘れではない深刻なものの気がして、精神神経科か神経内科を受診したとしましょう。初めは、ただの初老おやじとして対応してくれている皆さんが、医者であることを明かした途端に急にぎこちなくなります。逆の立場にわたしがなってもそうだから、きっと多くの医療従事者はそうでしょう。この医者の云っていることは信用できそうか?などと値踏みされていると思うのでしょうか?「先生には分かっているでしょうが・・・」「ご存知のように・・・」などと云いながらかなりの説明が省略されることになりそうです。「わたしは専門外なのでもうちょっと初歩的なところから教えてください」「その省略されたところが知りたいのですよ」と訴えても、その説明の仕方は一般の方のそれとはきっと違います。「そんなことまで話すのはあまりに失礼だ」と必要以上に気を回してしまうから。その前に、自分にも医者としてのプライドがあって、「そんなことも知らないの?」と思われたくないという本音も見え隠れします。相手が医者ではなく、カウンセラーだったらどうか?わたしはほとんど自分を出せないかもしれません。ヘラヘラしながらも悩んでいる本心をいえずに、相手も何か気兼ねしてズケズケとは入って来れないのではないでしょうか。
プライドと気兼ねの間をフラフラしながら、結局あまり良くわからないままに釈然としない状態で病院を出ていく、そんな気がします。だから自ずと病院受診が後回しになって「医者の不養生」ということになるのかもしれない、と思ったりします。事実、わたしがうつになりかけたとき、結局は医者の誰にも相談しませんでした。できなかったと云った方が正解かもしれません。医者は、患者になるのがものすごく下手なんです。
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