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芸能山城組

先日ノーベル賞を受賞した諸先生方と肩を並べて仕事をしている分子学の専門家たちの、まくし立てるような早口の講演に、もっと早口の細かい質問が飛ぶ。日本核医学会という世界はさすがに凄いなあと思いましたが、全くもってちんぷんかんぷんでした。

そんな中で異彩を放ったのは、国立精神神経センター本田学先生の「美と快の脳機能イメージング」という講演でした。「理性と倫理が邪魔をする人類と違い、他の多くの動物は報酬系と懲罰系で生きている。報酬系に導かれ、懲罰系に押し出されて行動を起こす。」・・・大学に入ったら学校に行かずに「芸能山城組」に入ったという異質の経歴を持っている本田先生の話はどんどん聴衆を本田ワールドに引き込みました。「芸能山城組」は映画「AKIRA(アキラ)」の音楽を担当したことで有名になりました(と講演で云ってました)。

話の主体は「ハイパーソニック・サウンド」=超高周波成分の音は必要なのか?という話です。現在、人間には聞こえない20kHz以上の音はCDやMDではカットされています。音響学者がいろいろな実験をした結果、「その領域の成分が入っていてもいなくても快と感じる効果に差が出なかった」というのがカットされた理由です。ところが、音楽職人(アーチストやレコーディングエンジニア)たちは経験としてその違いを感じている。ということは、その実証実験のやり方自体が間違いだったのではないか?自らが音楽家である山城組長が中心となって、検証実験のやり直しをし、PET検査を使って見事にその差を画像で示したのです(詳細はどうぞHPへ)。すなわち、聞こえる成分は耳で感じ、聞こえない成分は身体全体で(どこかの皮膚を通して)感じている可能性を、学問的に示したのです。

面白かったです。かといって、今さらCDに聞こえない領域の音が入れられるようになるわけではない事実もまた面白い。生き方に幅がある人は話にも幅があるので面白い、そう思いました。そしてそのハイパーソニック・サウンドを用いたブルーレイ版「AKIRA(アキラ)」がもうすぐ発売されるのだそうです。ちゃっかり販促活動もやってました。

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