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「バカにするな」

父が生前、大分のある公立病院を受診したときの話をしたことがあります。

歩いていてちょっとヨタッとしたら、「おじいちゃん、大丈夫ですか?」・・・その病院の若い看護師さんがすぐにやってきてやさしくそう聞いたそうです。「人を年寄り扱いしやがって!!」・・・その直前に診察を受けた泌尿器科の若い医者の態度にムカムカしていた彼は、どうも彼女にお門違いな怒りをぶつけたようでした。高血圧の悪化にそんな出来事はしっかり寄与していたことでしょう。

その泌尿器科の医者がバカヤローであることはしょうがないので、さっさと縁を切らせることにしましたが、客観的にみてもたしかに70歳の彼は「おじいちゃん」です。うちの病院は必ず名前で呼ぶように教育されていますが、名前だけきちんと呼んでもその他はほとんどタメ口のナースは少なくありません。わたしは彼の息子だから、彼の若いときから知っています(わたしが生まれる前までは知りませんが)。その連続性があるので「歳をとってきた父」ではあっても「おじいちゃん」とは思いません。でも、点として出会ったちょっとヨタヨタしている70歳のオヤジはやはり「おじいちゃん」なんだなあと思ったとき、ハッとしました。わたしもまた、心はずっと青年のままです。中学や高校時代の友人と行動を共にすることが多いからかもしれませんし、子どもがいないからかもしれませんが、つい自分は若いものと思ってしまいます。でも、その連続性の中でいつの間にか認知症と老後を気にする歳になっています。端から見て、このゴマ塩アタマのオヤジはやはり青年ではありません。

あきらめとプライドと、どちらもが混在する厄介なお年頃ですが、きっとこの両方が存在してバランスをとっているから健康に生きていられるのだろう、と思う今日この頃です。

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