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辞めたくない。

わたしたちの病院でもメンタルトラブルで休職を余儀なくされているスタッフが年々増えてきました。そのまま退職して病院を去っていく人も居ますが、休職の道を選んだ人の多くは、治療の経過と並行して「リハビリ勤務」を開始し、自信がついたところで正式な「復職」になるという流れがうちの病院の規則なのだそうです。そのリミットは1年間。その間であれば「リハビリ勤務」は何ヶ月でも続けられます。

中には傍からみてどう考えても復職は無理だろうと思えるほど病んでいる人がいます。でも「どうしても辞めたくない」と言い張り、家族を交えて産業医と何度も話し合うこともあった、と聞きます。わたしが産業医をしている企業でも同じ様なお嬢さんがいました。傍から見て、早く辞めて新しい世界でリセットした方がはるかに建設的な人生が送れるのではないかと感じる人でした。なぜこの会社に残ることにそこまでこだわるのか?彼女と何度か話していると割合はっきりした理由が浮かび上がってきました。一言でいえば「敗北感と不全感」。「自分が自分に負けてしまったという無力感を味わいたくない。解決できずにここで逃げて負けてしまうのがイヤだ!」と彼女はいいました。でも、実はその裏で、「自分が戻れないのは、原因になった同僚や上司がそこにいるから。他の部署に移れば自分の実力はもっと生かせるはずだ。わたしはいつでも戻れる準備ができている。ただ何も分かってない何も変えようとしていない彼らの環境の中に戻るのがイヤなのだ。悪いのはその人たちなのに、どうして悪くない自分が去っていかなければならないのか?」という不満感が強いのではないか、と感じました。復職できた人たちは、その点に少しでも気付いて、そのために自らの考えがわずかでも変わった人たち、あるいは変えようと考えることができるようになった人たちなのではないかと思います。

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