医者の用足し
自らが心臓病の治療を受けている開業医の先生がおりました。先生の悩みの種は、心不全予防のために飲んでいる利尿剤(オシッコを出してムダな心臓の負担になる水分を抜くくすり)でした。普通、外来には患者さん用トイレしかありません。利尿剤を飲むと午前の診療中に何度もトイレに入らないといけないので、飲むわけにいかないと云うのです。それが原因で心不全になったこともあります。・・・結局、それがきっかけで先生は医院を閉めました。
ある眼科を受診して待合室で待っていたとき、おもむろに院長先生が診察室から出てきてトイレに入りました。そして程なく、ハンカチで手を拭きながら出てきた先生をみつけました。わたしが呼ばれるのはずっと後ですが、その手で目を触るのだと想像すると何かあまりいい感じがしませんでした。
この冬の時期、わたしも診察の途中でがまんできずに小用を足しに行くことは間々あります。幸い、うちの施設は職員用トイレが裏側にあるので受診者と動線を交わらせることはありませんが、それでも部屋に帰ってきたときにトイレに行ったことに気付かれるのではないかと無意味に気を遣ったりします。一番大変なのは院外健診に出向いたときです。午前中に診察を100人近くすることが少なくありませんが、途中で小便に行くのはさすがにできません。皆が、わたしがトイレに入る姿を見てしまいますから。我慢の限界に達しそうになることは実はかなりの回数ありました。
しっかり手洗いしているのだから、実際には感染した患者さんを診察した後よりかえってきれいなはずです。単なるイメージだけの話なのですが、する側もされる側も払拭できない後ろめたさがあります。・・・医者も人の子、どうぞご容赦ください。
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