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「眠らない冬眠」(後編)

「人間は冬眠しないシマリスだ」あるいは「リズムを忘れつつある動物だ」と前述の研究者は書いています。シマリスの冬眠システムのうち人間にないのは冬眠をうながす物質だけなのです。その他のパーツは全部揃っています。だから、ホルモンにリズムのうねりを作ってやれば人間も人工冬眠ができるかもしれないというのです。そうするとこの究極の健康管理システムによって、病気予防や老化防止ができるかもしれません。

でも、現代社会を生きる人間は逆にリズムをどんどん失っています。地球の異常気象によって四季の変化がなくなっているだけでなく、1年中同じ環境の中に生活するようになって、本来持っていたであろう体内の年間周期的リズムもなくなっています。生きていくための機能が退化していっている人間界では、人工冬眠の夢は遠いものになっていくのかもしれません。

ちなみに、クマがするのは冬眠ではありません。食うものがないのでエネルギーを使わないように「冬ごもり」をするのです。冬ごもりをしている間に体重が減りますが、なんと皮下脂肪しか減らず、筋肉や骨はきちんと維持されるそうです。人間が何ヶ月も食べずに寝ていたら筋肉がなくなり骨がスカスカになって、歩けなくなりますから、クマの冬ごもりにはまた全く違うメカニズムが存在しているんでしょう。調べていくとなかなか面白いことばかりです。

人生の3~4分の1は睡眠中です。「真夜中は別の顔」、どうせ別世界に生きるならステキな夜にしたいものです。

ところで、シマリスの冬眠研究をしている近藤宣昭氏たちのいる三菱化学生命科学研究所は2010年に解散する、というニュースを読みました。不況の煽りではありますが、何かもったいない気がします。

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