ガタが来た身体もおもしろい。
40歳弱の若い男性が、わたしに面会に来ました。先週うちのドックを受けにきた人です。わたしは時々こんな面会を受けます。どうも、私のように医者らしくないいい加減な人間の方が話しやすいのかもしれません。
彼は健康のことで悩んでいました。健康のために運動をがんばったおかげで健診データが見違えるように改善したのですが、ちょっとやりすぎて股関節を痛めてしまい、それが治らなくて大きな病院を転々としています。インターネットで名医を探しながら受診してみますがなかなかスッキリした解決策をもらえないようなのです。人に勧められてグルコサミンやコラーゲンを飲んで少し良くなった感じがするのですが、多くの整形外科医がそれを肯定してくれないのも心がスッキリしない原因になっているようです。
人間は、思いがけないカラダのトラブルが生じたとき、何とか元の何もなかった状態に戻したいと思います。それが若ければ若いほど、完璧な無傷状態に戻せないと取り返しのつかないカラダになってしまった気になって、必死になるようです。でも、ガタがきたカラダと一緒に人生を過ごすのも意外におもしろいものなのですよ。もちろん、身体の不具合でとても苦しんでいる方には不謹慎な云い方かもしれません。でも、わたしは頚椎ヘルニア・腰椎ヘルニアでずっと足が痺れていて時々指先も痺れたりして、膝が壊れて正座ができなくて、首がひどいと背中の痛みで眠れなくなったりして、最近は足の裏が固まって、ついでに視力の矯正も十分できなくて・・・そんな元には戻せないカラダですけど、別に何の制限もしない人生を過ごしています。
「あきらめる」というのは決して後ろ向きの対処法ではなく、かえって前向きな生き方へ踏ん切れるきっかけになることをわたしはいつの間にか体得しました。彼もまた、そんなしがらみから開放されて「これもまた楽し」と思う人生の来ることを祈っています。
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