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エンゼルメイク

「おくりびと」を観たのと時を同じくして、ある新聞にエンゼルメイクの話題が出ていました。「おたんこナース」で有名な作家小林光恵さんが最初に声を上げた「エンゼルメイク」は、「故人の尊厳を守るために家族や医療者で最期にふさわしい姿に身支度すること」だそうです。死の化粧用品を専門に扱う会社もあると聞いてちょっと驚きました。

エンゼルメイク、つまり「死化粧」ですが、私たちが医療現場で見てきたモノとは全く質が違います。病院で、「人間」から魂が抜ける瞬間を医者と一緒に経験するのがナースです。彼らには最後の仕事が残っています。昔から「エンゼルセット」というモノがありました。身体中の穴に詰め込む脱脂綿や綿棒、タオル、消毒液、縫合セット(注射でできた穴を塞ぐため)などが入った薄汚い箱がどこからともなくベッドサイドに準備され、男子禁制のカーテンの向こう側で殺伐とした儀式が行われてきました。付着した血液をきれいに洗い落とし、傷口に包帯を巻いて、新しい寝間着に着替えさせて「すっきり」した姿にしますが、そこにいるのはやはり「屍」でした。生前の元気だったころの面影はまったく見られず、病気と闘い抜いた成れの果てといった様相でした。

話題にしているエンゼルメイクは、まさしく「おくりびと」。しかもナースだけでなく家族と一緒に旅立ちの身支度をします。いかに綺麗にメイクしてあげられるかというだけでなく、家族と一緒に生前の思い出話をしながら、家族の心のケアを行うことの意義が大きいのだと思います。「故人の尊厳を守るため」といいながら、残された家人や医療者が後悔を残さないように満足のいく区切りをつける儀式なのでありましょう。

素晴らしい!と思いながら、一方でそれは医療の領域を越えていないか?という疑問が残らなくもないのであります・・・。

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