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マンガ

わたしの尊敬する恩師は、常に情熱的で学問に貪欲で常に患者さんの立場に立ち、そしていつも部下や病院の5年後10年後を見据えた提言をする人でした。カリスマ中のカリスマですが、世間のカリスマにありがちなワンマンプレーではなく、部下や周りの人間の幸せを常に考えている人でした。止まることを知らず、だから人生のサイクルが普通よりはるかに早かったのだと思います。生まれてからこの方、わたしが関わってきた人の中で、この人はやはり全く別格であったと思います。

ただ、意外にもそんな革新的な彼が、頑なに拒んでいたのがマンガ本です。わたしたちはよくマンガ誌を回し読みしていました。「大の大人が、しかも医者の君たちが、マンガなんか読むなんて信じられん!」・・・彼はいつも強い口調で叱責していました。「今は歴史書や哲学書もマンガの方が分かり易いモノがたくさんあるのですよ」と進言しましたが、全く聞く耳を持ちませんでした。マンガは子どもの読み物・・・他の事に関しては、あれだけ柔軟で発展的な考え方をしている人なのに、その決め付けを最後まで曲げませんでした。今考えても、あれだけは不思議です。

それはともかくとして、本当に最近のマンガ本はセンスがあって大人が読んでも面白いと思います。某病院の当直中にバカボンドやピンポンの全集を読んでいたら、いつの間にか夜が明けたことがありました。友人は「神の雫」を読んでワインに嵌りました。マンガは決して暇つぶしで読むものではありません。ただ、正直なところ最近の自分はあまりマンガを読みません(大人のマンガも含めて)。なんか、妙に面倒くさいのです。小説を読む方がはるかに楽です。これが「オヤジの証明」というものならさびしい限りです。

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