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人間は定位置にいないと落ち着かない

「巨人性うつと阪神性不安」という本を読みました。男性更年期外来をしている心臓屋の医者(大阪大学石蔵文信先生)が書いた、とても楽しい本です。

読売巨人軍(とそのファン)は、常に勝つことを義務付けられている(と思いこんでいる)。幸せ慣れした人は突然の不幸に弱く、些細なことに傷つく。つまずいたことのない人は転び方がわからずに大怪我をする! それが「巨人性うつ」なのだそうです。「つまずいたら、つまずく前のように走ろうと無理をしてはいけない。少し症状が良くなると、すぐ元のように働こうとする。そして、ぶり返して元の木阿弥になるのである。」・・・典型的なうつ病の経過を、見事に巨人ファンの心理を通して解説しておりました。

一方、阪神です。実はこの本が書かれた2003年、阪神は18年ぶりの優勝を果たします。「いつも負けているのに今年は優勝するかもしれない?」・・・そんな絶好調の真っ只中での阪神(とそのファン)の心理です。慣れない幸せに恵まれると落ち着かない、不安でたまらない。今日は良いけど明日から全部負けるかもしれない。この幸せの先にもっと大きな不幸があるかもしれない!といつも不安に思うのです。これが「阪神性不安」です。不安になると過去の失敗ばかりに気をとられて「また失敗するのではないか」と悪い予感にとらわれる。これを避けるには過去の良いことばかり思い出せばいい。「バース、掛布、岡田のバックスクリーン三連続本塁打」・・・関西では年中このシーンばかり流れるらしい、と書かれていました。超楽勝だと思われた昨シーズン、阪神はウソのような大逆転で優勝を逃しました。この本を読みながら、阪神ファンにまたまた完全なるトラウマの伝説を植え付けることになったんだろうなと思いました。

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