パニック発作
石蔵先生によると、中高年の引きこもりの中には「外に出るのが面倒くさい」人だけでなく、不安障害(パニック障害)の人も含まれる可能性があると云います。これは、大勢に囲まれると息苦しくなったり胸がドキドキしたりする病気です。
わたしの妻が、若い頃パニック発作に悩まされました。きっかけは突然でした。わたしたち夫婦は、わたしの仕事の都合で新婚早々に東京に移り住みました。石神井公園近くの閑静な住宅地にあるアパートを借りましたが、都心で仕事をしている私と違い、周りに知り合いのいない彼女にとって一日何もしゃべらない日も少なくなかったようです。ある日、西武池袋線の電車に乗っていたら、池袋の直前で突然急停車をしました。何があったのか告げられることなく待たされたとき、突然動悸が始まりました。単なる信号待ちだったことを後で知りました。次に、超満員の急行電車に乗っていました。このとき突然に不安がこみ上げてきたのです。「今、この電車が急停車したらどうなるのだろう?」・・・思っただけで怖くなりました。尋常でない動悸に襲われました。早くこの場を離れたい!そう思いましたが、急行電車は何駅も飛ばして走っていきます。やっとの思いで途中駅のホームに降りたとき、顔面蒼白になっていたそうです。
それ以降、彼女は電車に乗れなくなりました。やむを得ない時は時間を掛けて各駅停車に乗りますが、それでも最初のうちは何度か途中下車したと聞きます。出ないで済むならどこにも行きたくない・・・彼女の一番苦しかった時期でした。まだ当時はそういう概念が確立していませんでしたので、病院に行っても良いアドバイスはもらえませんでした。何とか治った後、何年もして「パニック障害」という単語を初めて聞いたとき彼女は喜びました。やっと得体の知れない相手が分かり、自分だけが特殊じゃなかったことを知って安堵したのです。
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