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数字の独り歩き

先月、京都で開かれた第34回ニュータウンカンファレンスに行ってきました。心臓核医学について最先端の医療情勢を知ることのできる、歴史のある研究会ですので、毎年万難を排して出席しています。

核医学というのは、微量の放射線をくっつけた物質(放射線医薬品といいます)を患者さんに注射したり吸い込んでもらったりして、体内に取り込まれた放射線を外から撮影する検査です。心臓に注射すると心臓の機能の悪いところを見つけだせます。核医学に限らず、放射線を使った検査(レントゲンや透視やCT、PET、MRIなど)はどれも「影」を写す検査です。だから医者が所見を読むことを「読影」と云います。内視鏡検査のように直接実物を見る検査とは違って、あくまでも影を眺めながら実体を想像する検査です。最近はMRIや大腸CTなど、まるで実物を見ているかのような立体三次元のリアルな画像を見せますが、錯覚してはいけません。あれはあくまでも影をつなぎ合わせて機械が想像した絵です。バーチャル体験をしているだけです。

そんなまことしやかな像を作っていくためには、決まった領域ごとに数字化する作業が入ります。もともと「影」なものを数字化、つまりデジタル化させる段階で、そこにあるものは明らかに「虚像」です。元々実体のないものを数字化すること(これを「定量化」と云います。医療現場では「定量」ということばは重要な位置にあり、これがなければ「科学ではない」と云われてもしょうがない、という学者さんも多いでしょう。)は注意しなければなりません。ヘタをすると「定量化と言う名の数字遊び」をしているに過ぎない可能性があるからです。絵がきれいだというだけで感動しないようにしましょう。

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