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日本統合医療学会

伝統医学、相補・代替医療を統合して「患者中心」の医療を推進するため、2つの学会が統合されて「日本統合医療学会」というのが発足しました。その学術大会のレポート記事を、Medical Tribuneで見つけました。

とても悦ばしいことだと思いました。近代西洋医学体系のみを重んじる現代医療にとっての頼みの綱はEBM(Evidence-based Medicine)ですが、これが一人歩きしすぎたころから大きなひずみが生じ始めてきたと思います。EBMは医療者が訴えられないように編み出した隠れミノであって、わたしには単なる統計学でしかないように思えます。証拠がない医療は「経験主義のまやかしだ」という考えが、経験による医療を魔女狩りのように完全排除させて、統計学的に一番優れた方法だけを公認することを正義だと勘違いしているのではないかと思うのです。医療が普通の科学と違うことは、相手が人間であり、「全て」の人間が恩恵を受けなければ意味がないという点です。「統計学的に有用とされた方法で上手くいかない人は、しょうがないから諦めなさい」というわけにはいかない世界なのです。そしてもうひとつ科学と大きく違うことは、科学的に解決するかどうか(診断がつくかどうか)ではなく、患者さんの生活や価値観が満たされるようになる(満足できる)かどうかが最も重要なことだということです。端的に云えば、原因がわからなくてもすっかり治ればそれでいいわけです。だからこそ、西洋医学的に解明できなくても統合的に解決できるものがあれば積極的に試みてみることは、これからとても大切になってくるだろうと思っています。

幸い、「EBMの抱える矛盾に対し、最近では対話、傾聴、行動観察を通じた質的調査が試みられ、患者や家族から表出される物語に着目して全人的医療を目指すnarrative-based Medicine(NBM)で補っていこうとする動きがある。」そうで、もっともっと人間を人間としてみる医療の分野が広がっていってほしいと思います。

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