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ホッチキス

「書類が多くて失いそうだから、ホッチキスできちんと留めて送ってほしい」

先日、病院にあるアンケート箱にそんな要望が入っていました。奇しくもわたしは書類の束の隅に留められたホッチキスをひとつひとつ外しながら、そんな報告書を読んでいました。うちの健診結果の報告書も一部が冊子様になっています。その冊子は導入された時から真ん中でホッチキス止めされています。「市政便りや公文書の類が全部ホッチキスを除けようとしているこのご時世に、なんでホッチキスなんかをわざわざ使うの?」と事務方にクレームを云いに行ったら、利用者からの要望が多いのだと回答されました。

たしかに書類を区分し、なくさないようにまとめるのにホッチキスは便利です。でも、ホッチキスは捨てるときにとても厄介です。ゴミの分別化が一層細やかになりました。紙ゴミを捨てるに当たってホッチキスの針は全部取り外さなければなりません。個人情報はシュレッダー行きです。スチール製のホッチキスの針が1つで付いていようものなら一瞬にしてシュレッダーが壊れます。だから公文書や自治体の広報誌は折り曲げただけの冊子に代わったのだと認識しています。主目的の使いやすさを重視(お客様の要望に従って)する一方で、使用後の扱いの可能性まで目を向ける心配りがある方がカッコいいな、とわたしは思います。

ある食品会社の健診に出向いたとき、書類が全部紙のホッチキス留めでした。ホッチキスの針が食品ラインに混入したらいけないからです。たしかに使っているうちにポロポロ外れますが、それでもこれで十分だと思いました。

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