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軽躁

ある医学雑誌によると、日本人には国民性のひとつとして「軽躁」があるのだそうです。甲高い声で早口で心身ともにちょっと騒がしい状態、と云ったらいいのでしょうか。物静かで寡黙なのが日本人の日本人らしさなのだと思っていましたので、ちょっと驚きました。でも、自分を考えてみると確かにいつも軽躁です。特にここ数年は、良いことも悪いことも、嬉しくても怒っていても、いつの間にか大声で話してしまっています。かなり苦しかったうつ状態のときですらそうなったりしていました。もともとは小声でボソボソ話すのが常でしたが、滑舌の悪いわたしが耳の悪いお年寄りの方々にわかりやすく話そうとする意識が強くて、あるいはボソボソしゃべると機嫌が悪いように思われるので誤解されないようにという意識でそうしていたつもりでしたが、歳とともにどんどん声が甲高くなっていくのは、ちょっと病的かもしれません。

その記事にはもうひとつ、武田信玄の遺訓にも触れていました。「主将が陥りやすき三大失観」です。①分別あるものを悪人と見ること、②遠慮あるものを臆病と見ること、③軽躁なるものを勇豪と見ること、です。ここにも軽躁をヨシとしてしまう間違いを戒めています。3つのうちの1つですので、これはかなりのウエイトをもって昔からリーダーが陥りやすかった勘違いなのでしょう。

現代社会の若者たちは、自分の世界に入り込むオタクと周りを気にせずうるさく騒いでいる軽躁ばかりで、社会性が欠落している!と云われますが、それは若者たちに限った特徴ではないようです。わたしもこの機会に、少し反省してみましょう。

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