ブルガダ
先日、うちの職場の生理検査のお嬢さんが、わたしに教えてくれました。
警察から依頼があって、うちで健診を受けたある男性の過去5年分の心電図を提出したそうです。実はその男性が突然死をしたのです。20歳代の男性でした。彼の心電図は最初の心電図だけが「正常」で、それ以降は全部典型的な「ブルガダ型心電図波形」でした。毎回、精密検査を指示していましたが、おそらく自覚症状がなかったから(2回目以降は『いつものことだから』の気持ちもあったのでしょう)一度も専門医を受診したことがなかったようです。
「ブルガダ型心電図波形」は1000人に2人弱程度の割合でみられる波形です。いわゆる「突然死」した人たちの心電図について多くの検討がなされましたが明確な特徴は見つかりませんでした。ところがその中で、ごく一部に共通の心電図波形を有する集団(家族性のことが多いのですが)があることをブルガダさんという人が発見して「ブルガダ型心電図波形」として発表しました。
症状(動悸・ふらつき・意識消失など)や家族歴がなければ大部分は問題ないのですが、前ぶれなく突然危険な不整脈が出現して突然死する人がいるので要注意なわけです。健診では神経質になりすぎてやや引っかけすぎだと批判を受けがちですが、今回の若者のように、おそらく家族歴も症状もなかったであろう人がこうやって突然死してしまうと(詳細を知りませんので因果関係はわかりませんが)、疎かにはできないなと改めて思いました。彼のご冥福を祈ります。合掌。
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