独りよがりの恋
高校を卒業して大学予備校に通い始めたころから、わたしはある同級生に独りよがりの恋をしました。遠く離れた、わたしの立場で云えば(相手にとっては恋愛ではなくて仲の良いお友達だったかもしれません)「遠距離恋愛」になるそのつき合いは、途中での中断を経ながら、まがりなりにも大学卒業の前まで続きました。
携帯電話やメールの存在しないあの時代、手紙と里帰りのときのたわいないデート以外に交わすことばすらありませんでしたが、わたしはいつもウキウキしていました。「恋」というものはそんなものです。
予備校時代、夏を過ぎても成績はパッとしませんでした。志望校の合格可能性Dランク・・・とりたてて遊んでばかりいるわけでもないのに今ひとつスイッチが入りません。そんなころ彼女から一通の手紙がきました。「勉強の邪魔になるからしばらく手紙出さなくていいよ」・・・きっと軽い気持ちで書いたのでしょうが、その一通で突然わたしのスイッチが入りました。正月明けの模試ではAランクに。おかげさまですんなり志望校に入学でき、わたしってすごいなと思いました。その影響からか、大学時代のわたしは何をするにも自信がありました。それはきっと遠くに彼女がいたからだと思います。生き方の自信というものは理屈ではありません。芯になる存在があれば簡単にできることです。でも医師国家試験を前に別れを告げられました。彼女のために大分に帰る決心をしていたわたしのこころは見事に潰れました。彼女とは縁がなかったのだと諦めるのに長い時間がかかりました。
ただ、今思うと、彼女はわたしが今のわたしであるためにどうしても必要だった、最大のご縁だったのではないかと思います。彼女がわたしの前に存在しなければわたしは医者をしていません。医者になったことが良かったか悪かったかはわかりませんが、今でもわたしは彼女にこころから感謝しています。
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コメント
おはようございます。
新潟は凄く荒れております。
いつも早い返信有難うございます。
私も色々ありましたが、資格があるため今検診部門勉強中です。
職場も変わり毎日なれない仕事に戸惑っております。
ただいつしかスイッチが入り覚えることが楽しくなりました。
年をとってくるとパソコンも解るまで時間かかりますが、休憩中に先生のブログ見てます。
真面目な事ばかりでなく、砕けて面白いです。
(失礼しました)(笑)
最後に当時彼女さんもこのブログ見てたら嬉しく思ってることと思います。
投稿: ゴマ子 | 2016年2月21日 (日) 14時05分
ゴマ子さん
さっき、少林拳の練習からの温泉センターから帰ってきました。風呂上がりのビールの勢いでこっそり教えてあげます。実はこの記事を書いたちょっと前に、三十数年ぶりに彼女に会って久しぶりに話をしましたの。彼女にこのブログを教えたから、わざと書きましたのよ。えへへ。
投稿: ジャイ | 2016年2月21日 (日) 23時03分