国試対策
わたしはどうも連むのが苦手です。試験勉強はひとりでやっていくのが昔からの習慣でした。自己流のやり方や覚え方でないとアタマの中に入っていかないのです。そのスマートでない勉強の仕方をヒトに笑われるのが嫌なだけだったのかもしれません。
自分の生き方のスタンスには自信もあり、その方法はそれなりに通用してきました。でも、医師国家試験だけは恐怖でした。クラスメートは必ず友人とグループを作って勉強し合っていました。あるいはクラブの先輩から虎の巻やポイント集のコピーをもらい、どんな参考書を買えばいいかアドバイスを受けていました。それが国試対策の常套手段だったのだと思います。別に授業をさぼっていたわけではありませんが、居眠りすることは多く(今でも学会場で暗くなると瞬時に意識がなくなるのは当時からの条件反射かしら)、本学(医学部ではなく全学部合同)の演劇部に入り浸っていたわたしはクラスにクラブの仲間すらいませんでした。コピーは何とか再再再コピーの段階で分けてもらい、友人に参考書のアドバイスの受け売りを教えてもらいはしましたが、いかんせん勉強の仕方がわかりません。
よくもまあ合格したものです。受験した後もできた実感がなく、卒業して引っ越すときにもまだ国試対策の問題集と参考書は捨てる勇気がありませんでした。きっと医者の多くが常識だと思っている知識を、わたしは意外に知らないままに仕事しているかもしれません。代わりに、多くが知らないであろう、分厚い内科教科書の欄外のコラムの内容をこそっと覚えていたりするかもしれません。昔はちょっと負い目に思っていましたが、最近はこんな医者がいても良いんじゃないかしら、と開き直っています。
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