久しぶりに職場の広報誌が発行されました。今回もこのブログの中から写しとりました。それでもいいか、と思うようになりました。
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「ごはんは楽しみですか?」・・・あるダイエット本を読んでいたとき、このことばが目に止まりました。あなたはごはんの時間が楽しみですか。健康のために朝食は摂らねばならないというから眠気まなこで食卓に着いてはみるものの、頭も胃もまだ起ききれていないあなたの身体は、ちゃんと朝食の味を楽しめているのでしょうか。疲れて帰ってきて夕食の食卓に着いたけれど、そこに並んだ「健康食」と称する味気ない料理を見て思わずため息をついていませんか。あるいは逆に、毎晩のように作ってくれる完璧な栄養理論に裏打ちされた豪華レストランメニューもどきを前に、ちょっとうんざりしてきたりしていませんか。
「ごはんが楽しみ!」と思えるようになるために最低限必要なものは「空腹感」です。それも「心地よい空腹感」。それがあるからごはんの時間が待ち遠しい。ダイエットのことなど気にしないで早く食卓に着きたい衝動に駆られる。そんな期待に満ちた空腹感をみなさんは日々感じていますか。それはイライラした空腹(飢餓感)とは全く違うものです。わたしたちが子どものころはいつもお腹が空いていました。「お母さんお腹空いた。何かない?」と一日中言っていたような気がします。まったくもって料理下手だったわたしの母の手料理ですら心からおいしいと思いました。今は、子どもたちに限らず、本当の意味での空腹の時間帯なんてほとんどないだろうと思います。食事が単なるエネルギー補給やストレス解消の道具でしかないのかと思うとちょっと寂しくなります。冒頭のダイエット本に「満腹感と満足感は全く違うものです」と書かれていました。「食べること」を考えるとき、今の社会に一番足りない、そして一番大事なことはそんな満足感なのではないでしょうか。
わたしたち健診スタッフも反省しなければならない点があります。「このまま放っておくととんでもないことになるぞ!今、何かを始めないと手遅れになるぞ!」と背中から鞭打って、嫌々立ち上がろうとするのを抱え上げて牢獄にたたき込む、それを「ダイエット指導」と称し、「おまえのためだよ」「あなたのためよ」とどこかのCMのような呟きを耳元でずっと囁いています。それでいて「ごはんは楽しいか?」もないものだと、とつくづく思うのです。うちの家に11歳になったばかりのワンコがいます。いつも若い子のように跳ね回って元気いっぱいです。彼女は、ごはんの皿を前に、よだれを床にタラタラこぼしながらキラキラした目をして「待て」をします。こんなワクワク感、うらやましいです。
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